サマリー
◆6月の機械受注(船舶・電力を除く民需)は、前月比▲8.8%と2ヶ月連続で減少した。市場コンセンサス(同▲1.0%)を大幅に下回った。同時に公表された、7-9月期の見通しは前期比▲0.3%を見込んでおり、企業の設備投資には一服感がある。内閣府は基調判断を「持ち直しの動きに足踏みがみられる」へ下方修正した。
◆製造業は前月比▲15.9%と3ヶ月ぶりに大きく減少した。需要者別に受注を見ると、製造業では17業種中、13業種が減少した。特に、電気機械(同▲22.0%)や業務用機械(同▲35.5%)が減少に寄与した。化学工業(同▲44.0%)や石油製品・石炭製品(同▲53.6%)は前月の大型受注からの反動とみられる。非製造業(船舶・電力を除く)の受注は、同▲7.0%と6ヶ月ぶりに減少した。業種別に見ると、11業種中8業種で減少した。その他非製造業(同▲16.5%)や建設業(同▲22.8%)などが減少に寄与した。
◆設備投資の先行指標である機械受注は、2018年は製造業が全体をけん引する形で緩やかに増加した後、遅くとも2019年ごろには減速するとみている。製造業では、輸出拡大を追い風に、機械・設備への更新需要が生じている。機械・設備の耐用年数は8~10年であるため、製造業の受注動向は10年程度の周期で動いており、当面はこうした循環要因と好調な企業業績が受注を押し上げるであろう。加えて、省人化投資用の産業用ロボットの受注やIT投資も引き続き全体を押し上げるだろう。
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