2018年5月鉱工業生産

4-6月期は増産に転じ、7月もプラス推移となる見込み

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2018年06月29日

  • 経済調査部 研究員 廣野 洋太
  • 小林 俊介

サマリー

◆5月の生産指数は前月比▲0.2%となり、4ヶ月ぶりに低下した一方、コンセンサス(同▲1.0%)を上回った。製造工業生産予測調査で見ると、6月:同+0.4%、7月:同+0.8%となっている。ただし、6月の先行き試算値(生産計画のバイアスを補正した値)は同▲0.1%であり、6月はわずかながらマイナス推移となる可能性が高い。これを基にすると、4-6月期は、予測調査ベースで前期比+2.1%、6月を補正値で計算すると同+1.9%の着地となり、いずれにしても増産に転じる可能性が高い。

◆業種別では、輸送機械工業や鉄鋼業が減少した。輸送機械工業は、前月比では減少したものの高水準を維持。昨年の買い替え需要が剥落したことで国内の新車販売が弱含んでいるが、米国を中心に輸出が堅調であることが背景にあるとみられる。さらに7月1日には中国が自動車の輸入関税を引き下げるため、当面の生産は底堅い推移が予想される。鉄鋼業は、米国による追加関税の影響が懸念されていたが、一部日本の鉄鋼製品に関しては特例措置が見込まれ、先行きの計画も底堅い(6月:前月比+0.7%、7月:同+1.4%)。

◆7月以降に関しては、非常に緩やかな増産を見込んでいる。国内向けの設備投資と輸出の拡大基調が、生産を押し上げるであろう。ただし外需には下振れリスクがある。足下では米国が保護主義的政策を押し進める一方、各国も対抗措置を取り始めており、世界貿易の停滞には注意が必要である。

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