サマリー
◆5月の生産指数は前月比▲0.2%となり、4ヶ月ぶりに低下した一方、コンセンサス(同▲1.0%)を上回った。製造工業生産予測調査で見ると、6月:同+0.4%、7月:同+0.8%となっている。ただし、6月の先行き試算値(生産計画のバイアスを補正した値)は同▲0.1%であり、6月はわずかながらマイナス推移となる可能性が高い。これを基にすると、4-6月期は、予測調査ベースで前期比+2.1%、6月を補正値で計算すると同+1.9%の着地となり、いずれにしても増産に転じる可能性が高い。
◆業種別では、輸送機械工業や鉄鋼業が減少した。輸送機械工業は、前月比では減少したものの高水準を維持。昨年の買い替え需要が剥落したことで国内の新車販売が弱含んでいるが、米国を中心に輸出が堅調であることが背景にあるとみられる。さらに7月1日には中国が自動車の輸入関税を引き下げるため、当面の生産は底堅い推移が予想される。鉄鋼業は、米国による追加関税の影響が懸念されていたが、一部日本の鉄鋼製品に関しては特例措置が見込まれ、先行きの計画も底堅い(6月:前月比+0.7%、7月:同+1.4%)。
◆7月以降に関しては、非常に緩やかな増産を見込んでいる。国内向けの設備投資と輸出の拡大基調が、生産を押し上げるであろう。ただし外需には下振れリスクがある。足下では米国が保護主義的政策を押し進める一方、各国も対抗措置を取り始めており、世界貿易の停滞には注意が必要である。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
ゼロクリックで完結する情報検索
AI検索サービスがもたらす情報発信戦略と収益モデルの新たな課題
2025年10月10日
-
2025年8月消費統計
サービス消費が強く、総じて見れば前月から小幅に増加
2025年10月07日
-
財政悪化が日本経済にもたらす影響とリスクの定量評価
成長力強化と財政健全化で将来の財政危機発生リスクの抑制を
2025年10月07日
最新のレポート・コラム
-
働く低所得者の負担を軽減する「社会保険料還付付き税額控除」の提案
追加財政負担なしで課税最低限(年収の壁)178万円達成も可能
2025年10月10日
-
ゼロクリックで完結する情報検索
AI検索サービスがもたらす情報発信戦略と収益モデルの新たな課題
2025年10月10日
-
「インパクトを考慮した投資」は「インパクト投資」か?
両者は別物だが、共にインパクトを生むことに変わりはない
2025年10月09日
-
一部の地域は企業関連で改善の兆し~物価高・海外動向・新政権の政策を注視
2025年10月 大和地域AI(地域愛)インデックス
2025年10月08日
-
政治不安が続くアジア新興国、脆弱な中間層に配慮した政策を
2025年10月10日
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日