サマリー
◆米中の通商政策を巡る紛争は、「延長戦」に突入した。とりわけ米国トランプ大統領は追加関税への意向をも表明しており、今後の展開には不確実性が残る。
◆現時点で決定された政策は大別して、①米国による鉄鋼・アルミニウム関税引き上げ、②米国による中国からの輸入品500億ドル相当に対する関税の引き上げ、③中国による同額の報復関税、④中国による自動車等を含めた関税の引き下げ、の四つである。
◆本稿では、各決定が日本企業の収益および日本経済に与える影響を網羅的に試算した。総じて言えば①②③のマイナス効果を④のプラス効果が概ね相殺する見通しだ。
◆むしろ日本企業にとっての最大の正念場は、今後控えている自動車の通商交渉となろう。仮に、トランプ大統領が主張している通りに関税の引き上げが行われた場合、2兆円を超える、文字通り桁違いの関税コストの増加が見込まれる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
経済指標の要点(11/15~12/16発表統計)
2025年12月16日
-
2025年12月日銀短観
AI需要増を背景に製造業の業況は改善/先行きは日中関係悪化に警戒
2025年12月15日
-
「責任ある積極財政」下で進む長期金利上昇・円安の背景と財政・金融政策への示唆
「低水準の政策金利見通し」「供給制約下での財政拡張」が円安促進
2025年12月11日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

