サマリー
◆米中の通商政策を巡る紛争は、「延長戦」に突入した。とりわけ米国トランプ大統領は追加関税への意向をも表明しており、今後の展開には不確実性が残る。
◆現時点で決定された政策は大別して、①米国による鉄鋼・アルミニウム関税引き上げ、②米国による中国からの輸入品500億ドル相当に対する関税の引き上げ、③中国による同額の報復関税、④中国による自動車等を含めた関税の引き下げ、の四つである。
◆本稿では、各決定が日本企業の収益および日本経済に与える影響を網羅的に試算した。総じて言えば①②③のマイナス効果を④のプラス効果が概ね相殺する見通しだ。
◆むしろ日本企業にとっての最大の正念場は、今後控えている自動車の通商交渉となろう。仮に、トランプ大統領が主張している通りに関税の引き上げが行われた場合、2兆円を超える、文字通り桁違いの関税コストの増加が見込まれる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年10月貿易統計
トランプ関税の悪影響が継続。今後は米中リスクにも警戒が必要
2025年11月21日
-
2025年10月全国消費者物価
サービス価格や耐久消費財価格の上昇が物価上昇率を押し上げ
2025年11月21日
-
中国の渡航自粛要請は日本の実質GDPを0.1~0.4%下押し
今後は対中輸出などへの波及に要注意
2025年11月21日

