サマリー
◆2018年5月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+8.1%(市場コンセンサス:同+7.5%)と前月(同+7.8%)からプラス幅が拡大、輸入金額も同+14.0%と前月(同+5.9%)からプラス幅が拡大。貿易収支は▲5,783億円と3ヶ月ぶりの赤字となった。
◆輸出数量(大和総研による季節調整値)は前月比▲4.1%と3ヶ月ぶりに減少した。地域別に見ると、EU向け(同▲13.1%)、米国向け(同▲4.9%)、アジア向け(同▲2.3%)で幅広く減少した。EU向けは、2017年中ごろから増勢が頭打ちとなっており、足下では船舶の大幅な減少があった。米国向けは、自動車が牽引役となり堅調に伸びていたが、2018年に入り足踏みしており、5月は特に自動車が大幅に減少した。アジア向けは、半導体等製造装置を中心とした伸びが、2017年末ごろから鈍化している。2018年5月は原動機などの減少が全体を押し下げている。
◆また中国は、日用品などの関税率の引き下げを決定している。公表されている情報をもとに減少する関税額を試算すると1,271億円程度となる。一方、米国の自動車関連輸入の調査が始まっており、その動向には注意が必要である。足下で報道されている25%の関税が自動車とその部品にかけられた場合、メキシコやカナダなど第三国からの自動車輸出も含めると関税の増加額は全体で2.2兆円程度と試算され、中国の輸入関税引き下げのプラス効果を上回るマイナス効果となる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日