鉱工業生産:増産ペースは減速するものの、18年も増産基調は維持

下振れリスクは、中国経済の弱含み

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2018年05月30日

  • 前田 和馬

サマリー

◆2018年1-3月期の鉱工業生産指数は前期比▲1.3%となり、8四半期ぶりに低下した。世界的なスマホ販売の減速を受けて、電子部品の輸出が減速した他、自動車を中心とした輸送機械が減産となったことが全体を押し下げた。

◆2017年の鉱工業生産は前年比+4.4%であり、これを牽引したのは5つの品目に集約される。すなわち、①半導体・半導体部品、②半導体製造装置、③工作機械・産業用ロボット、④自動車、⑤化粧品である。これら5品目は、全体に占めるウェイトが約3割であるものの、寄与率で見れば、2016年から2017年の上昇分の64%を占めている。

◆業界団体による予測等を基にすると、これら5品目による鉱工業生産への押し上げ効果は、2017年:前年比+2.8%ptから2018年:同+1.2%ptまで縮小するだろう。世界経済の拡大等を背景に、増産基調は維持されるものの、2017年の増産ペースからは減速すると見込まれる。また、2017年の牽引役であった5品目は中国需要への依存度が強い傾向があり、中国経済が弱含むことで、これらの生産が下振れする可能性に留意する必要がある。

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