2018年1-3月期GDP一次速報

9四半期ぶりのマイナス成長。先行きは一旦踊り場局面入り

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2018年05月16日

  • 小林 俊介

サマリー

◆2018年1-3月期の実質GDP成長率は前期比年率▲0.6%(前期比▲0.2%)と9四半期ぶりのマイナス成長に転落した。市場コンセンサス(前期比年率▲0.1%、前期比▲0.0%)からも下振れしており、ネガティブな印象だ。マイナス成長転落の要因としては、輸出が大幅に減速したことに加え、内需主要項目が軒並み小幅なマイナス成長に転じたことが挙げられる。なお、GDPデフレーターは、原油価格等を中心とした輸入価格の上昇に伴う交易条件の悪化もあり、前期比▲0.2%とマイナス幅を広げ、名目GDPは前期比年率▲1.5%(前期比▲0.4%)と6四半期ぶりの減少となった。

◆2017年度の実質GDP成長率を年度ベースで振り返ると、前年度比で+1.5%に加速し、4年度連続の拡大となった。成長の寄与度は内需が同+1.1%pt、外需が同+0.4%ptとなり、内外需のバランスの取れた成長を続けつつも、牽引役は相対的に内需へとシフトした。2016年度はグローバルな金融市場の混乱と円高、および株安に伴う逆資産効果もあり、輸出、設備投資、消費のいずれも今ひとつ振るわなかったが、こうした悪材料が一巡した結果、各需要項目ともに総じてバランスの取れた成長軌道に回帰したのが2017年度であったと言えよう。

◆先行きの日本経済は、2017年度に揃っていた好材料が剥落する格好で、踊り場局面に入る公算が大きい。輸出は①米国を中心とした在庫循環上の回復、②共産党大会を控えた中国経済の加速、③財政緊縮から拡張への移行に伴う欧州経済の回復により加速してきたが、これらの効果は一旦消失に向かう。内需についても、自動車を中心とした耐久財の買い替えサイクルが昨年末以降消失している。もっとも、マイナス成長が続くとの見方は悲観的過ぎる。生鮮食品価格高騰による消費抑制効果は一巡した。主要輸出先における天候不順の影響も一巡し、米国における減税効果も控えている。原油価格高騰の負の効果には留意が必要だが、景気後退リスクを織り込むのは時期尚早だ。

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