サマリー
◆2018年1月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+12.2%(市場コンセンサス:同+9.4%)と前月(同+9.3%)からプラス幅が拡大した。1月の税関長公示レートは112.47円/ドルと、前年比で見ると3.4%の円高水準であった。
◆輸出数量(大和総研による季節調整値)は前月比▲0.3%と4ヶ月ぶりに減少した。地域別に見ると、全体を押し下げたのは米国向け(同▲3.6%)とアジア向け(同▲1.2%)輸出だった。米国向けでは、自動車が大幅に減少した。アジア向け輸出では、春節の時期のずれによる中国向け輸出の底上げがあったにもかかわらず、前月比で見れば減少した。押し上げ要因となったのはEU向け輸出(同+2.9%)であった。EU向けでは、船舶の増加が全体を押し上げたようだ。
◆先行きの輸出数量について、海外経済が底堅い成長を続ける中、緩やかな増加基調を維持するとみている。中国経済については、景気減速要因が多いものの、米国、欧州経済の堅調さが、輸出数量の押し上げ要因となるだろう。注意点としては、為替レートの動向が挙げられる。生産拠点の海外移転が進んだ現在、円高による影響は以前と比較すれば小さくなっているがゼロではない。今後一層の円高が進んだ際には日本製品の価格競争力が損なわれることで輸出数量が抑制される可能性がある。
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