サマリー
◆2017年10月の企業関連の指標を見ると、鉱工業生産指数は、前月比+0.5%と2ヶ月ぶりに上昇した。他方、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、同+5.0%と2ヶ月ぶりに増加した。内訳を見ると、製造業、非製造業ともに増加した。製造業の10-12月期見通しは前期比▲9.4%であるものの、足下の増勢は強い。一方、昨年度高水準で推移してきた非製造業は、10月は増加したが、均してみれば緩やかな減少傾向にある。
◆2017年10月の家計調査によると、実質消費支出は季節調整済み前月比▲2.0%と3ヶ月ぶりに減少した。同指標は、2017年6月頃からほぼ横ばいの推移を続けていたが、足下では弱含んでいる。また、完全失業率(季節調整値)は前月から横ばいの2.8%、有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.03pt上昇し1.55倍となった。先行きの労働需給は、非製造業・中小企業を中心にタイトな状況が続き、失業率は2%台での推移が続くとみている。失業率は1980年に1%台を記録しているが、今後、その水準まで低下するには、求人側と求職側の業種に関するミスマッチの解消が必要だ。
◆今後発表される経済指標では、12月26日発表予定の11月家計調査に注目している。10月の家計調査では、台風や自動車メーカーの無資格検査問題などの特殊要因が影響し、実質消費支出は前月を下回った。11月家計調査では、特殊要因による影響はなくなるものの、生活に欠かせないエネルギー代の上昇によって、消費者の節約志向が強まる可能性に注意が必要だ。原油価格は2017年に入ってから軟調な推移が続いていたものの、6月を底に上昇基調に転じ、その後、5ヶ月間で約3割も上昇した。11月は全国的に気温が低下しており、エネルギー代の負担増加が見込まれる。一方で、景気ウォッチャー調査において、冬物販売が好調であるとの声が散見されることから、被服及び履物の消費支出が全体を押し上げる効果も期待できる。プラス要因とマイナス要因が交錯する中で、消費全体がどのような動きをするかが注目される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
米GDP 前期比年率+2.8%と加速
2024年4-6月期米GDP:内需主導での堅調さを維持
2024年07月26日
-
監査・ガバナンス強化へ回帰する英国
昨年撤回した監査強化方針を復活し、ガバナンス・コードも厳格化へ
2024年07月25日
-
女性がキャリアを築ける職場ほど、子どもを持ちやすい
健保組合ごとの被保険者・被扶養者の出生率と、その要因の多変量解析
2024年07月24日
-
GX経済移行債に期待されるインパクトレポーティング
~GXの理解醸成促進に向けて~『大和総研調査季報』2024年夏季号(Vol.55)掲載
2024年07月24日
-
盛り上がりに欠ける英国の政権交代
2024年07月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
-
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日