サマリー
◆2017年1-3月期の実質GDP成長率は前期比年率+2.2%(前期比+0.5%)と、市場コンセンサス(前期比年率+1.8%、前期比+0.4%)から上振れして着地した。個人消費、設備投資、住宅投資、政府消費、民間在庫変動、輸出、輸入といった主要項目が満遍なく増加した(輸入の増加は成長率に対してはマイナス寄与)。総じて堅調な内容であるが、成長の牽引役が内需(前期比寄与度+0.4%pt)に交代している点は注目に値する。一方で、2016年を通じて成長を牽引してきた外需の前期比寄与度は+0.1%ptに縮小した。また、輸入物価の上昇に起因して交易条件が悪化した結果、GDPデフレーターは下落に転じた。
◆今回の結果を受け、2016年度を通じた成長率は前年度比+1.3%となり、2015年度からさらに加速した。成長の牽引役は外需(前年度比寄与度+0.8%pt)であったが、内需も個人消費、設備投資、住宅投資を中心に堅調な成長を記録している。ただし民間在庫変動は同▲0.3%ptと減少に転じたほか、公的固定資本形成は前年度比▲3.2%と低空飛行が続いた。GDPデフレーターは内需デフレーターの同▲0.4%に引きずられる形で同▲0.2%の低下となり、名目GDP成長率は同+1.2%となった。
◆先行きの日本経済は、基調として緩やかな拡大傾向が続く見込みである。個人消費を中心とした内需は一進一退ながら堅調な推移が続くと同時に、世界経済の回復を背景とした外需の拡大が日本経済の成長を支えるだろう。ただし、米国の通商政策や地政学的リスクの高まりなど、外需の下振れリスクには警戒が必要である。また、利上げに伴う米国経済の減速や、新興国からの資金流出などにも細心の注意が必要となろう。
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