サマリー
◆3月日銀短観では、製造業を中心に業況感が着実に改善した点が注目される。当社は、日本経済は緩やかに改善しているとみており、3月日銀短観の結果も、総じて当社の見方に沿った内容だと評価する。先行きの業況感に対して企業は慎重姿勢を維持しているものの、足下の経済・金融環境の改善を踏まえると、過度な懸念は不要だと考えている。
◆大企業製造業の「業況判断DI(最近)」は+12%ptと前回(+10%pt)から改善した。海外経済の持ち直しの動きが続く中で、為替レートが2016年11月以降に円安方向に振れたことや、これまでのエネルギー・素材価格の上昇などがプラスに作用した格好だ。ただし、為替レートが2017年に入ってから調整局面入りした点などが重石となり、市場コンセンサス(+14%pt)を下回った。
◆大企業全産業の2017年度の売上高計画は前年度比+1.4%、経常利益計画は同▲0.2%となった。売上高計画が明確なプラスとなった点は評価できる。ただし、日本では3月決算の企業が多く、年度決算発表前に公表される3月日銀短観において、来年度見通しの数字を回答することが難しいという実情があるため、3月短観の数字については参考程度に捉えておくべきだろう。
◆大企業全産業の2017年度の「設備投資計画(含む土地、除くソフトウェア)」は、前年度+0.6%と増加する計画となり、市場コンセンサス(同▲0.2%)を上回った。また、大企業の「生産・営業用設備判断DI(最近)」を見ると、製造業は+1%ptと前回(+1%pt)から横ばい、非製造業は▲1%ptとこちらは前回(▲2%pt)から小幅に上昇(悪化)した。総じてみると、大企業に設備過剰感が高まるような動きは出ていないと評価できる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
米GDP 前期比年率+2.8%と加速
2024年4-6月期米GDP:内需主導での堅調さを維持
2024年07月26日
-
監査・ガバナンス強化へ回帰する英国
昨年撤回した監査強化方針を復活し、ガバナンス・コードも厳格化へ
2024年07月25日
-
女性がキャリアを築ける職場ほど、子どもを持ちやすい
健保組合ごとの被保険者・被扶養者の出生率と、その要因の多変量解析
2024年07月24日
-
GX経済移行債に期待されるインパクトレポーティング
~GXの理解醸成促進に向けて~『大和総研調査季報』2024年夏季号(Vol.55)掲載
2024年07月24日
-
盛り上がりに欠ける英国の政権交代
2024年07月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
-
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日