2017年2月貿易統計

輸出数量が拡大基調をたどっていることを確認

RSS

2017年03月22日

  • 岡本 佳佑
  • 小林 俊介

サマリー

◆2017年2月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+11.3%と、3ヶ月連続で前年を上回り、事前コンセンサス(同+10.1%)も上回った。前年比で見た輸出価格がプラス幅を拡大したことに加え、中華圏の旧正月である春節の影響などから1月に減少していた輸出数量が2ヶ月ぶりにプラスに転じたことが、輸出金額の大幅増に寄与した。


◆季節調整値で見た輸出金額は前月比+6.1%と7ヶ月連続の増加、輸出数量は同+4.7%(季節調整値は大和総研による)と3ヶ月ぶりの増加となった。輸出数量を地域別に見ると、米国向けが同+2.9%、EU向けが同+9.5%と、いずれも3ヶ月ぶりの増加、アジア向けは同+9.1%と、2ヶ月ぶりの増加となった。品目別では、非鉄金属やバス・トラックの輸出数量の拡大が継続した一方、ICや二輪自動車が減少した。アジア向けでは、紙類及び同製品やIC、自動車の部分品など、多くの品目が前月から増加した。春節に伴う休暇が終わり、中国向けの輸出が通常に戻り始めたことが一因と考えられる。


◆先行きの輸出については、海外経済が底堅い成長を続けるなか、引き続き緩やかな増加基調をたどるとみている。ただし、トランプ政権の成立を受け、米国の通商政策が保護貿易主義に転じる可能性がある点がリスク要因として挙げられよう。仮に日米貿易摩擦問題が表面化するようなこととなれば、日本の輸出産業は打撃を受ける可能性がある。このため、4月にも開催が予定される日米経済対話での協議内容に注目したい。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。