サマリー
◆2017年2月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+11.3%と、3ヶ月連続で前年を上回り、事前コンセンサス(同+10.1%)も上回った。前年比で見た輸出価格がプラス幅を拡大したことに加え、中華圏の旧正月である春節の影響などから1月に減少していた輸出数量が2ヶ月ぶりにプラスに転じたことが、輸出金額の大幅増に寄与した。
◆季節調整値で見た輸出金額は前月比+6.1%と7ヶ月連続の増加、輸出数量は同+4.7%(季節調整値は大和総研による)と3ヶ月ぶりの増加となった。輸出数量を地域別に見ると、米国向けが同+2.9%、EU向けが同+9.5%と、いずれも3ヶ月ぶりの増加、アジア向けは同+9.1%と、2ヶ月ぶりの増加となった。品目別では、非鉄金属やバス・トラックの輸出数量の拡大が継続した一方、ICや二輪自動車が減少した。アジア向けでは、紙類及び同製品やIC、自動車の部分品など、多くの品目が前月から増加した。春節に伴う休暇が終わり、中国向けの輸出が通常に戻り始めたことが一因と考えられる。
◆先行きの輸出については、海外経済が底堅い成長を続けるなか、引き続き緩やかな増加基調をたどるとみている。ただし、トランプ政権の成立を受け、米国の通商政策が保護貿易主義に転じる可能性がある点がリスク要因として挙げられよう。仮に日米貿易摩擦問題が表面化するようなこととなれば、日本の輸出産業は打撃を受ける可能性がある。このため、4月にも開催が予定される日米経済対話での協議内容に注目したい。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年9月全国消費者物価
政策要因でコアCPI上昇率拡大も物価の上昇基調には弱さが見られる
2025年10月24日
-
2025年9月貿易統計
トランプ関税の悪影響続くも、円安効果で輸出金額は5カ月ぶり増加
2025年10月22日
-
2025年8月機械受注
非製造業(船電除く)を中心に弱含み、政府は基調判断を下方修正
2025年10月16日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日

