2016年11月全国消費者物価

トランプ・原油減産合意でコアCPIの潮目が変化

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2016年12月27日

  • 金融調査部 主任研究員 長内 智
  • 小林 俊介

サマリー

◆2016年11月の全国コアCPI(除く生鮮食品)は前年比▲0.4%となり、市場コンセンサス(同▲0.3%)を小幅に下回った。日本銀行の参考系列である「生鮮食品とエネルギーを除くCPI」のプラス幅も低水準での推移が続き、日本銀行の2%のインフレ目標や政府の目指す「デフレ脱却」には程遠い状況にある。


◆2016年12月の東京都区部コアCPI(中旬速報値)は、前年比▲0.6%(11月:同▲0.4%)と10ヶ月連続のマイナスとなり、予想外にマイナス幅を拡大させた。前月からの寄与度の変化を確認すると、「半耐久消費財」が全体を押し下げた。


◆先行きの全国コアCPIの前年比は、12月にマイナス幅をいったん拡大させる可能性があるものの、その後はマイナス幅を着実に縮小させる見込みである。時期については幅を持ってみる必要があるものの、2017年2月頃からプラス圏に転じるとみている。


◆以上のような全国コアCPIと日本銀行の参考系列である「生鮮食品とエネルギーを除くCPI」の動向を勘案すると、消費者物価は、日本銀行のインフレ目標に向けて緩やかに上昇すると見込まれる。ただし、それでもなお日本銀行の「2%(超)」というインフレ目標のハードルは高く、今後も総じて緩和的な政策スタンスが維持されるだろう。

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