サマリー
◆金融緩和をしても物価が持続的には上がらない状況が続く中で、自然利子率の低下が長期デフレの原因になっているという見方が広がっている。
◆その見方によれば、金融政策による金利の引き下げには下限があることから、財・サービスの需給を均衡させる自然利子率がその下限の金利を下回ってしまうと、金融政策によって物価を上げることができなくなり、デフレからの脱却が難しくなる。
◆技術進歩の加速は、自然利子率を上昇させることから、イノベーションの促進は有効なデフレ対策である。
◆人口減少は自然利子率を引き下げることから、少子化対策はデフレ対策になる。ただし、少子化対策が人口トレンドを変えるためには長い時間がかかる。
◆拡張的財政政策は、講じられている間のみ自然利子率を引き上げるが、長期にわたる金融緩和と有効に組み合わされた場合には、持続性のあるデフレ対策となる可能性がある。ただし、デフレ対策としての効果がいつまでも挙がらず、将来世代の負担を増やすだけに終わるリスクもある。
◆貿易・投資の自由化は有効なデフレ対策であり、直近は国内の賃金を低下させたとしても、デフレを深刻化させることにはならない。ただし、貿易・投資の自由化が賃金を低下させて貧富の格差を拡大する可能性については、適切な対策が取られる必要がある。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年9月消費統計
衣料品など半耐久財が弱く、総じて見れば前月から小幅に減少
2025年11月07日
-
人手不足下における外国人雇用の課題
労働力確保と外国人との共生の両立には日本語教育の強化が不可欠
2025年11月06日
-
消費データブック(2025/11/5号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2025年11月05日

