サマリー
◆2016年5月の機械受注統計によると、国内設備投資の先行指標である民需(船舶・電力を除く)は前月比▲1.4%と、市場コンセンサス(同+3.2%)に反して2ヶ月連続で減少した。2015年半ばころから緩やかに増加してきた民需(船舶・電力を除く)は足下で頭打ち感が見られ始めている。
◆5月分のデータに関して、需要者別に受注を見ると、製造業は前月比▲6.4%と2ヶ月連続で減少した。国内経済の停滞、円高といった逆風の下、製造業の受注は全般的に停滞している。非製造業(船舶・電力を除く)は同▲0.3%とわずかながらも3ヶ月連続で減少した。非製造業の受注動向には、これまでの増加トレンドに一服感が見られる。また、外需は前月比▲14.8%と2ヶ月連続で減少した。
◆設備投資の先行指標である機械受注は先行き、横ばい圏で推移する展開を予想している。労働需給が引き続きタイトな中、特に外需の影響を受けにくく、業績が安定している非製造業において、人手不足に対応した合理化・省力化投資が行われることが期待される。また、短期的には、熊本地震により毀損した生産設備の復旧・復興を目的とした機械の需要拡大も見込まれる。一方、世界経済の停滞や円高・ドル安といった外部環境の悪化は、製造業を中心とした輸出企業の業績の重石となろう。これまで設備投資を支えてきた“好業績”という前提が崩れれば、設備投資を先送りする企業が増える可能性が高い。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年4-6月期GDP(2次速報)
実質GDP成長率は前期比年率+2.2%に高まるも民間在庫などが主因
2025年09月08日
-
一億自己啓発社会の死角
データが示す、転職志向・子育て・ジェンダーにおける格差
2025年09月05日
-
2025年7月消費統計
需要側統計は強いが供給側は弱く、総じて見れば前月から概ね横ばい
2025年09月05日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日