5月機械受注
予想に反して前月比で減少する結果。足下で頭打ち感が見られる
2016年07月11日
サマリー
◆2016年5月の機械受注統計によると、国内設備投資の先行指標である民需(船舶・電力を除く)は前月比▲1.4%と、市場コンセンサス(同+3.2%)に反して2ヶ月連続で減少した。2015年半ばころから緩やかに増加してきた民需(船舶・電力を除く)は足下で頭打ち感が見られ始めている。
◆5月分のデータに関して、需要者別に受注を見ると、製造業は前月比▲6.4%と2ヶ月連続で減少した。国内経済の停滞、円高といった逆風の下、製造業の受注は全般的に停滞している。非製造業(船舶・電力を除く)は同▲0.3%とわずかながらも3ヶ月連続で減少した。非製造業の受注動向には、これまでの増加トレンドに一服感が見られる。また、外需は前月比▲14.8%と2ヶ月連続で減少した。
◆設備投資の先行指標である機械受注は先行き、横ばい圏で推移する展開を予想している。労働需給が引き続きタイトな中、特に外需の影響を受けにくく、業績が安定している非製造業において、人手不足に対応した合理化・省力化投資が行われることが期待される。また、短期的には、熊本地震により毀損した生産設備の復旧・復興を目的とした機械の需要拡大も見込まれる。一方、世界経済の停滞や円高・ドル安といった外部環境の悪化は、製造業を中心とした輸出企業の業績の重石となろう。これまで設備投資を支えてきた“好業績”という前提が崩れれば、設備投資を先送りする企業が増える可能性が高い。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
2021年01月22日
金融商品の評価
金融商品の価値はどのように算定するのか?
-
2021年01月22日
2020年12月全国消費者物価
コアCPI変化率は約10年ぶりに▲1%台まで下落幅が拡大
-
2021年01月22日
家計の住宅ローンを点検する
近年の動向とコロナショックによる現時点での影響
-
2021年01月21日
2020年12月貿易統計
欧米での経済活動制限による需要減少を受け、輸出は足踏み
-
2021年01月25日
拝啓、ジョー・バイデン殿
よく読まれているリサーチレポート
-
2020年12月17日
2021年の日本経済見通し
+2%超の成長を見込むも感染状況次第で上下に大きく振れる可能性
-
2020年12月01日
2020年10月雇用統計
有効求人倍率が1年半ぶりに上昇
-
2020年11月20日
日本経済見通し:2020年11月
経済見通しを改訂/景気回復が続くも、感染爆発懸念は強まる
-
2020年08月14日
来春に改訂されるCGコードの論点
東証再編時における市場選択の観点からも要注目
-
2020年10月15日
緊急事態宣言解除後の地域別観光動向/Go To トラベルキャンペーンのインパクト試算
ローカルツーリズムが回復に寄与するも、依然厳しい状況が続く