サマリー
◆2015年7月の全国コアCPI(除く生鮮食品、以下コアCPI)は前年比0.0%と、市場コンセンサス(同▲0.2%)を上回った。総じて見ると、コアCPIの前年比はゼロ近傍での推移が続いており、日本銀行の2%のインフレ目標や政府の目指す「デフレ脱却」には程遠い状況にあると言えよう。
◆2015年8月の東京コアCPI(中旬速報値)は、前年比▲0.1%(7月同▲0.1%)と2ヶ月連続のマイナスとなった。東京コアCPIの結果を踏まえると、8月のコアCPIは前年比▲0.1%となる見込みである。
◆先行きのコアCPIの前年比は、小幅なマイナスに転じ、しばらくマイナス圏で推移すると考えている。ここ最近になって、中国をはじめとする世界経済の減速懸念の高まりなどから、WTI原油先物価格が一時40ドル/バレルを下回る水準まで急落し、さらに「リスクオフ」の円高が進むなど、新たな下押し圧力が生じている点にも注意したい。
◆前月からの大きな環境変化として、世界経済の減速懸念などを背景とする原油安や円高によって、わが国の経済・物価情勢に対して下方向のリスクが高まっていることが挙げられる。日本銀行はいわゆる2つの「柱」に基づいて経済・物価情勢の点検を行っているが、足下では、そのいずれの「柱」についても不確実性が増していると言えよう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年4-6月期GDP(2次速報)
実質GDP成長率は前期比年率+2.2%に高まるも民間在庫などが主因
2025年09月08日
-
一億自己啓発社会の死角
データが示す、転職志向・子育て・ジェンダーにおける格差
2025年09月05日
-
2025年7月消費統計
需要側統計は強いが供給側は弱く、総じて見れば前月から概ね横ばい
2025年09月05日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日