6月日銀短観

大企業を中心に業況感が堅調に改善、設備投資も大きく上方修正

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2015年07月01日

  • 金融調査部 主任研究員 長内 智
  • 小林 俊介

サマリー

◆日銀短観(2015年6月調査)は、製造業と非製造業のいずれも大企業を中心に業況感が堅調に改善していることを示す内容となった。加えて、2015年度の設備投資計画が大きく上方修正されるなど、企業の投資意欲が高まっている点も注目される。


◆大企業製造業の「業況判断DI(最近)」は+15%ptと前回(+12%pt)から改善し、市場コンセンサス(+12%pt)も上回った。このところ頭打ち感の強まっている輸出や生産動向などが企業経営者のマインドに影を落としているとみられる一方で、為替レートが前回の調査時点と比べて円安水準にあることや、輸出関連企業を中心に企業業績の改善傾向が続いていることがプラスに作用した格好だ。


◆大企業非製造業の「業況判断DI(最近)」は+23%ptと前回調査(+19%pt)から改善し、市場コンセンサス(+22%pt)も上回った。非製造業の業況感の改善は3四半期連続である。業種別に見ると、スーパーや百貨店の売上が改善傾向にあることや、訪日外国人のインバウンド消費の増加などを背景とする「小売」と「宿泊・飲食サービス」の改善が注目される。


◆大企業全産業の2015年度の売上高計画は前年度比+0.6%、経常利益計画は同+1.1%となり、景気回復の動きを反映して小幅ながらも増収経常増益が見込まれる。前回調査時点からの修正率を確認すると、売上高が▲2.0%と下方修正、経常利益が+3.7%と上方修正された。


◆大企業全産業の2015年度の「設備投資計画(含む土地、除くソフトウェア)」は、前年度比+9.3%と増加する計画となり、市場コンセンサス(同+5.3%)も大きく上回った。6月短観の設備投資計画には、中小企業を中心に上方修正されるという「統計上のクセ」があるが、今回の設備投資計画の上方修正幅は例年のパターンと比べても非常に強い結果であると評価できる。

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