サマリー
◆日銀短観(2015年6月調査)は、製造業と非製造業のいずれも大企業を中心に業況感が堅調に改善していることを示す内容となった。加えて、2015年度の設備投資計画が大きく上方修正されるなど、企業の投資意欲が高まっている点も注目される。
◆大企業製造業の「業況判断DI(最近)」は+15%ptと前回(+12%pt)から改善し、市場コンセンサス(+12%pt)も上回った。このところ頭打ち感の強まっている輸出や生産動向などが企業経営者のマインドに影を落としているとみられる一方で、為替レートが前回の調査時点と比べて円安水準にあることや、輸出関連企業を中心に企業業績の改善傾向が続いていることがプラスに作用した格好だ。
◆大企業非製造業の「業況判断DI(最近)」は+23%ptと前回調査(+19%pt)から改善し、市場コンセンサス(+22%pt)も上回った。非製造業の業況感の改善は3四半期連続である。業種別に見ると、スーパーや百貨店の売上が改善傾向にあることや、訪日外国人のインバウンド消費の増加などを背景とする「小売」と「宿泊・飲食サービス」の改善が注目される。
◆大企業全産業の2015年度の売上高計画は前年度比+0.6%、経常利益計画は同+1.1%となり、景気回復の動きを反映して小幅ながらも増収経常増益が見込まれる。前回調査時点からの修正率を確認すると、売上高が▲2.0%と下方修正、経常利益が+3.7%と上方修正された。
◆大企業全産業の2015年度の「設備投資計画(含む土地、除くソフトウェア)」は、前年度比+9.3%と増加する計画となり、市場コンセンサス(同+5.3%)も大きく上回った。6月短観の設備投資計画には、中小企業を中心に上方修正されるという「統計上のクセ」があるが、今回の設備投資計画の上方修正幅は例年のパターンと比べても非常に強い結果であると評価できる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
米GDP 前期比年率+2.8%と加速
2024年4-6月期米GDP:内需主導での堅調さを維持
2024年07月26日
-
監査・ガバナンス強化へ回帰する英国
昨年撤回した監査強化方針を復活し、ガバナンス・コードも厳格化へ
2024年07月25日
-
女性がキャリアを築ける職場ほど、子どもを持ちやすい
健保組合ごとの被保険者・被扶養者の出生率と、その要因の多変量解析
2024年07月24日
-
GX経済移行債に期待されるインパクトレポーティング
~GXの理解醸成促進に向けて~『大和総研調査季報』2024年夏季号(Vol.55)掲載
2024年07月24日
-
盛り上がりに欠ける英国の政権交代
2024年07月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
-
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日