サマリー
◆2014年10月の貿易統計では、輸出金額は前年比+9.6%と市場コンセンサス(同+4.5%)を大きく上回り、2ヶ月連続の増加。これは、輸出数量が同+4.7%と2ヶ月連続で増加したことに加えて、円安が進んだことで輸出価格が同+4.6%と上昇幅を前月(同+4.0%)より拡大させたことによる。この結果、季節調整値で見た輸出金額も前月比+1.9%と5ヶ月連続のプラスとなり、増加基調を強めている。
◆輸出数量指数を季節調整値で見ると(季節調整は大和総研による)、前月比+2.3%と2ヶ月連続の上昇。輸出数量は、これまで横ばい圏での推移が続いていたが、海外経済の底堅さや、契約通貨ベースで見た輸出物価指数(いわゆる現地価格)が緩やかに低下していることもあって、持ち直しの兆しが見られる。
◆輸出数量の先行きに関しては、海外経済が回復するに従って、徐々に増加基調へ向かうと見ている。ただし、足下で海外経済の減速感が高まる中、輸出の回復時期が後ずれするリスクが高まっている点に留意したい。貿易収支の先行きについては、内需の拡大に合わせて輸入数量が持ち直し、輸入金額が高水準で推移するとみられることから、赤字での推移が続くと見込む。他方、中長期的には、海外経済の回復を背景とする輸出数量の持ち直しによって、貿易収支の赤字幅は徐々に縮小していくと見ている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年3月雇用統計
失業率は上昇するも、求人倍率が上昇するなど雇用環境は悪くない
2025年05月02日
-
消費データブック(2025/5/2号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2025年05月02日
-
2025年1-3月期GDP(1次速報)予測 ~前期比年率+0.5%を予想
外需が下押しも内需は堅調/小幅ながら4四半期連続のプラス成長
2025年04月30日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日