サマリー
日本経済は2012年5月から11月にかけて景気後退に陥った。短期間とはいえ後退局面に至ったのは、スペインやイタリアの財政問題を起点にユーロ圏の金融不安が高まり、欧州経済の悪化につながったことによる。この時、欧州向け輸出比率の高い中国経済がその余波を受け、日本の輸出は対欧州だけでなく、対中国でも大きく減少した。
現在、ユーロ圏はデフレを阻止するためECBが量的緩和に踏み込むべき状況にあるが、緊縮財政を維持しながら景気回復を図ることは難しい。一方、中国では増加する非金融部門向けの債務と、低下する実質成長率とのアンバランスが広がっている。7-9月期の実質GDP成長率が5年半ぶりの低水準となった中国経済には、不動産市場の調整を起点にさらに減速する可能性がある。救いは米国経済がしっかりしていることだが、10月のQE3終了後に控える来年以降の利上げのタイミングは、やはり世界経済のリスクを意識したものにならざるを得ないだろう。消費税率引き上げの影響を脱し切れていない日本にとって、しばらく要注意の外部環境が続く。
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