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法人税減税の効果をどう考えるか

海外の成長を取り込むためにも、製造業の空洞化防止が不可欠

2013年10月02日

齋藤 勉

サマリー

◆安倍首相は、2014年4月の消費税率8%への引き上げを決定した。消費税率引き上げによる経済への下押し圧力を抑えるべく、政府は12月をめどに経済対策を策定する見込みである。なかでも注目されるのは、法人税減税の行方である。


◆イギリスの民間シンクタンクであるIFS(Institute for Fiscal Studies)が税制についてまとめた「マーリーズレビュー」によると、法人税は、国際展開する企業の行動に対して、投資対象国の決定、投資水準の決定、利益の帰属先の決定という3段階で影響を与える。ここで重要なことは、企業は国内の設備投資の金額を決定する以前に、どこで生産を行うかの決定を行うということである。


◆現在、日本企業は海外設備投資を積極的に行っており、結果として海外の現地生産比率が高まっている。その裏側では、日本からの輸出の減少という事態が生じており、国内経済の下押し圧力となっている可能性がある。


◆大和総研の試算によれば、海外現地生産比率が上昇している要因は高い法人税率と円高である。円高は量的・質的金融緩和の導入などで一定程度緩和されたものの、さらなる生産拠点の海外移転を食い止めるには、法人税率の引き下げが不可欠である。


◆平均実効税率を10%引き下げることができれば、輸出は年間2.3兆円程度、国内生産金額は4.7兆円程度増加する見込みである。また、この効果は1年間だけ生じるものではなく、永続的に発生するものである。


◆日本の成長戦略を考える上では、アジア諸国をはじめとする海外経済の成長をいかに取り込むかが重要であり、そのためには製造業の国内回帰が不可欠である。法人税減税は、その足掛かりとして十分に効果的なものであると考えている。成長戦略を着実に進めていくという意志を示していくためにも、早期に法人税減税を決定することには大きな意味があるのではないだろうか。

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