サマリー
◆【概況】生産は2ヶ月連続のマイナス:2012年5月の生産は、回復基調から踊り場局面へ転じるという当社のこれまでの見方を裏付ける内容であった。生産指数の季節調整済み前月比(以下、前月比)は▲3.1%と2ヶ月連続のマイナスと市場コンセンサスを下回り、前月からマイナス幅が拡大した。製造工業生産予測調査では、2012年6月分の生産計画が前月比+2.7%、同年7月分が同+2.4%と比較的強めの企業見通しが示された。同予測調査と生産指数の調査カバレッジの違いや最近の生産計画の修正パターンを踏まえると、生産は今回の予測調査ほどには改善しない可能性があるものの、全体的にみれば底堅い推移が続こう。
◆【業種別の動向】輸送機械が大きく低下:2012年5月の生産を業種別にみると、速報値が公表されている16業種中12業種の生産が低下した(2012年4月は9業種が拡大)。生産が低下した業種で注目されるのは「輸送機械」である。エコカー補助金復活による押し上げ効果が一巡してきたため、生産は転換点を迎えたと考えている。また、海外経済の減速の影響で輸出が鈍化している「化学(除く医薬)」や「一般機械」などもマイナスに寄与した。7月1日に開始される「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」の効果が注目される「太陽電池モジュール」の生産は、前月比▲2.0%と2ヶ月振りのマイナスとなった。
◆【今後の見通し】生産の先行きは横ばい圏で推移:生産の先行きは、東日本大震災に伴う復興需要と夏場の電力供給不足を見据えた短期的な在庫積み増しの動きに支えられ、大きく腰折れせずに底堅く推移すると見込んでいる。なお、当社の基本シナリオでは、夏場の電力供給不足による生産への直接的な影響は限定的であるという見方を継続している。ただし、エコカー補助金の効果一巡や欧州債務問題の再燃などの下振れリスクには注意が必要である。先行き不透明感の高まっている生産の足下の状況を評価する上で、7月2日に公表予定の6月短観において、製造業の「業況判断DI」と「海外での製商品需給判断DI」の動向を見極めたいと考えている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
CPIの2025年基準への改定による影響
コアCPIの前年比上昇率は0.0~▲0.3%pt程度の下方改定か
2026年07月16日
-
2026年5月機械受注
船電除く民需は前月の反動などで大幅に減少
2026年07月15日
-
骨太方針のポイント② ~「責任ある積極財政」の試金石は2030年代に
「財政ボーナス期」後を見据え「成長ありき」でない財政運営が必要
2026年07月15日
最新のレポート・コラム
-
データサイエンスを踏まえた年金数理理論の人的資本分析への発展可能性
新たな退職率算定方法による退職要因分析への応用
2026年07月17日
-
AI時代に自社のサイバー対策は正解なのか?
~Claude Mythos騒動を受けた各企業の対応を確認する~
2026年07月17日
-
CPIの2025年基準への改定による影響
コアCPIの前年比上昇率は0.0~▲0.3%pt程度の下方改定か
2026年07月16日
-
中国:26年2Qは4.3%成長、内需が急減速
4月~6月は政府成長率目標の下限を下回る
2026年07月16日
-
AI時代の競争力を生むのは誰か? ~シリコンバレーとシアトルが示す「人材エコシステム」の力~
2026年07月17日
よく読まれているリサーチレポート
-
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
-
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
-
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
-
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日

