サマリー
◆4月10日に行われたフランス大統領選の第1回投票の結果、現職のマクロン大統領が27.9%の得票率で第一位、反NATO、移民排斥を掲げる極右政党、国民連合のマリーヌ・ルペン党首が同23.2%で第二位となり、決選投票進出を決めた。決選投票がこの両者の対決となった場合には、マクロン大統領の勝利が世論調査で示唆されてきたが、直近の世論調査では大統領のリードは小さくなりつつあり、ルペン候補が終盤に支持率を伸ばしたことが、市場の動揺を招いている。
◆選挙戦の鍵を握るのが、大統領選挙で第三位となったメランション候補の支持者といわれている。ルペン候補は大胆に、極左のメランション候補支持者から多くの票を勝ち取ろうとしている。メランション候補は10日夜、支持者に対し決選投票でルペン候補には一票も与えるべきではないと訴えたが、世論調査からは支持者の一部はルペン候補に票を投じる可能性が示唆されている。
◆決選投票の行方は、4月20日に予定されている両候補のテレビ討論に大きく左右される可能性がある。ルペン候補は5年前の討論で振るわず、それが主な敗因となったと指摘されている。ルペン候補が大統領になれば、現在西側諸国が結束して発動している対ロシア制裁において大きな溝が生まれる可能性がある。4月24日以降にEUのリーダー国であるフランスが、反NATOを掲げ、親ロシア派として生まれ変わる可能性は低いが、皆無ではないことに十分留意する必要があるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
欧州経済見通し 成長再加速の兆し
景気の下振れリスク緩和でECBの追加利下げ観測は後退
2025年11月25日
-
7-9月期ユーロ圏GDP 緩やかな成長が継続
フランスの成長ペースが加速し、市場予想からはわずかに上振れ
2025年10月31日
-
欧州経済見通し フランスの政治不安は一服
ただし予断は許されず、予算協議が次の焦点
2025年10月21日

