1. トップ
  2. レポート・コラム
  3. 経済分析
  4. 欧州
  5. 新変異株「オミクロン」の行方を金融市場は固唾を飲んで見守る

新変異株「オミクロン」の行方を金融市場は固唾を飲んで見守る

主要中銀の金融政策の方向性に影響を及ぼすのか?

2021年12月01日

ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 菅野 泰夫

サマリー

◆新型コロナウイルスの変異株「B.1.1.529」(オミクロン株)の登場に動揺した世界の金融市場は、更なる情報が明らかになるのを、固唾を飲んで見守っている。英国政府は渡航禁止リストを巡る議論を続けており、必要があれば躊躇なく新たな国を追加するという。ただし既に欧州の多くの都市でも市中感染が確認されている。英国エセックス州では海外渡航実績のない子供の感染例もみられ、そもそも欧州での第四波にオミクロン株が関連していたのではないかとの疑問の声も上がっている。

◆オミクロン株の出現当初、英国運輸相は経済活動や日常生活の継続を重視し、公共交通網でのマスク着用義務の再導入には至らないと話していた。しかし、(オミクロン株の出現数日後に)国内でも感染例が確認されたことでジョンソン首相は対応を急遽変更し、11月30日から公共交通機関および店舗でのマスク着用を義務付ける決定をしている。制限措置の再導入に消極的な英国政府が、迅速な渡航制限をかけ、また限定的ではあるがマスク着用の義務化を再開させたことからも、オミクロン株への懸念の大きさがうかがえる。

◆金融市場は新たな変異株が経済成長の軌道を変える可能性に関し、更なる情報の発表を待っている段階であり、予断を許さない状況が続いている。無論、オミクロン株による不確実性の拡大によって、BOEの利上げだけでなく、世界の主要中銀の金融引締めを決定するタイミングが遅れる可能性があることは確かである。ただ、サプライチェーンの混乱によって製品需要が供給を上回っている昨今の状況では、経済活動のいかなる減速も昨今の急激なインフレの抑制にはつながらない可能性は高い。また先進国では経済活動の適応能力によって、感染拡大の波が来るたびに、経済への打撃はより小さなものとなっている。そのため今後、オミクロン株によって、新たな感染拡大が起きても、インフレを抑制する可能性は低く、金融政策の早期引き締めに対する懸念は変わるものではないと考えられる。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加