2022年の自社株買いの傾向と特徴

減益予想でも自社株買いに積極的な企業は多い

RSS

サマリー

◆上場企業の自社株買いが活発となり、2022年の実施額は2002年以降の最大となった。実施企業数と1社あたりの金額が増えている。業種別ではサービス業と銀行業の増加額が大きい。自社株買いの動きが広がりを見せている背景に、業績が改善すると見込む企業が多いこと、配当を含めた株主還元を増やす企業が多いことがある。

◆自社株買いと配当を比較すると、自社株買いは配当ほど業績見通しの変動の影響を受けていない。むしろ、減益を見込むケースの方が、より自社株買いに前向きになる企業が多い傾向にあった。積極的な自社株買いを通じ、投資家心理の改善効果を企業が期待していたことは、その一因として考えられよう。

◆大和証券の2023年度の主要上場企業の業績見通しでは、2022年度並みの高い利益水準を予想している。また、世界経済の成長率の鈍化が見込まれる中では、利益を成長投資に配分するよりも株主に還元する傾向は続くだろう。企業の財務状態も改善しており、余剰資金で自社株買いを行う企業も増えると考える。2023年の自社株買い実施額も高水準になると思われる。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。