外食企業の決算から見る物価高の影響

物価高が売上原価や販管費を通じて収益を圧迫する様子が浮き彫りに

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サマリー

◆2021年後半以降、資源高や円安の影響で日本でも物価高が進んでいる。このレポートでは外食企業に注目して、物価高が企業収益に与える影響を分析する。

◆外食企業の直近の四半期決算(2022年7-9月期のいずれかに四半期末を迎えた決算)を見ると、売上高はコロナ禍前である2019年7-9月期の▲1.1%まで迫りつつあるのに対し、営業利益は粗利益率の悪化などを受け、同時期の約3割にとどまっている。

◆特に電力・ガス料金は2021年末から急速に上昇し、とりわけ2022年7-9月期決算ではその影響が大きく表れた。水道光熱費の開示のある一部企業のデータを基にすると、2022年7-9月期の売上高に対する水道光熱費の比率は約4.4%と、2019年7-9月期に比べ0.8%pt程度上昇した。

◆外食各社は相次いで値上げを行っているものの、直近の決算では売上原価や水道光熱費の増加を十分にカバーできていない企業が多い。他方、更なる値上げによる需要減の可能性も想定されるため、仕入価格の上昇分をそのまま販売価格に転嫁することは難しい状況が続く可能性がある。今後も物価だけでなく、賃金・所得や消費マインドの動向も注視しつつ価格設定をする必要があるだろう。

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