2022年12月02日
サマリー
◆2021年後半以降、資源高や円安の影響で日本でも物価高が進んでいる。このレポートでは外食企業に注目して、物価高が企業収益に与える影響を分析する。
◆外食企業の直近の四半期決算(2022年7-9月期のいずれかに四半期末を迎えた決算)を見ると、売上高はコロナ禍前である2019年7-9月期の▲1.1%まで迫りつつあるのに対し、営業利益は粗利益率の悪化などを受け、同時期の約3割にとどまっている。
◆特に電力・ガス料金は2021年末から急速に上昇し、とりわけ2022年7-9月期決算ではその影響が大きく表れた。水道光熱費の開示のある一部企業のデータを基にすると、2022年7-9月期の売上高に対する水道光熱費の比率は約4.4%と、2019年7-9月期に比べ0.8%pt程度上昇した。
◆外食各社は相次いで値上げを行っているものの、直近の決算では売上原価や水道光熱費の増加を十分にカバーできていない企業が多い。他方、更なる値上げによる需要減の可能性も想定されるため、仕入価格の上昇分をそのまま販売価格に転嫁することは難しい状況が続く可能性がある。今後も物価だけでなく、賃金・所得や消費マインドの動向も注視しつつ価格設定をする必要があるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
2025年度税制改正大綱解説
大綱の公表で完結せず、法案の衆議院通過まで議論が続くか
2025年01月06日
-
2025年の中国経済見通し
注目点は①不動産不況の行方、②トランプ2.0 vs 内需拡大
2024年12月20日
-
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
-
岐路に立つ日本の人的資本形成
残業制限、転職市場の活発化、デジタル化が迫る教育・訓練の変革
2025年01月09日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
2025年度税制改正大綱解説
大綱の公表で完結せず、法案の衆議院通過まで議論が続くか
2025年01月06日
2025年の中国経済見通し
注目点は①不動産不況の行方、②トランプ2.0 vs 内需拡大
2024年12月20日
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
岐路に立つ日本の人的資本形成
残業制限、転職市場の活発化、デジタル化が迫る教育・訓練の変革
2025年01月09日