日銀短観(2020年3月)による資金繰り点検

新型コロナウイルスの影響で悪化する企業の資金繰りをどう読むか?

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サマリー

◆2020年に入り、新型コロナウイルスによる感染症の影響がグローバル金融市場および世界経済を大きく揺るがす中、日本企業を取り巻く金融環境は一変した。本稿では、2020年4月初めに公表された2020年3月の日銀短観の結果について、過去2回の景気後退期の状況を踏まえつつ、企業金融分野の中で注目度の高い「資金繰り判断DI」を中心に考察する。

◆2020年3月の日銀短観の「資金繰り判断DI」は、調査の回答時期の影響もあり、低下幅が限定的なものにとどまった。ただし、資金繰り判断DIの最終的な低下幅は、1990年代後半と2000年代後半の景気後退期を大きく上回る可能性がある点には、少し注意しておきたい。

◆企業の資金繰りを巡る今後の注目点として、主に、①政府の緊急経済対策に盛り込まれることが期待される中小企業の資金繰り対策、②企業の資金繰り悪化の直接的な要因である需要減少を食い止めるための需要刺激策、③新型肺炎の感染対策の進展度合い、が挙げられる。

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