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MiFIDⅡが引き起こす投資銀行リサーチ人員への波紋

エコノミスト/アナリストの厚遇にも変化が起こるのか?

ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 菅野 泰夫

サマリー

◆EU加盟国では2018年1月3日から、第2次金融商品市場指令(MiFIDⅡ)の施行が予定されている。その中でも、従来の投資銀行やブローカー(日本の証券会社に該当、以下、投資銀行)の株式・債券取引の慣例である、リサーチ費用を取引執行手数料に含めて請求することを禁止する、“アンバンドリング(分離明確化)”の導入が、投資銀行のリサーチ部門のビジネスモデルの根幹を揺るがす事態になるとみられている。


◆これまで無料とみなしてきたリサーチ費用の設定をめぐり、2017年の秋以降、あわただしい交渉が投資銀行と運用機関の間で繰り広げられている。ケーブルテレビの視聴料のように「基本料金のみ」から「従量制」、「(無制限のミーティングなど全部込みの)プレミアムパッケージ」など多くの形態が投資銀行から提案されている。ただし、各行とも当該規制への対応を急いでいるものの、業界として未だに統一した形式は確立されていない。


◆MiFIDⅡ適用開始前に、投資銀行は市場シェア拡大を目的としたリサーチの価格競争に突入しており、リサーチ価格は下落の一途をたどっている。さらに想定していた金額でのリサーチ販売は順調とはいい難く、9月以降続々と、MNMBの名のもとに自社のウェブサイト等でマクロ経済・FICCレポートに限り公開に踏み切る投資銀行が急増している。


◆過去数十年にわたり、リサーチチームを花形として扱ってきた各投資銀行への影響は深刻であろう。アナリストランキング上位の優秀なエコノミストやアナリストは時としてメディア露出を頻繁に行い、報酬面も含めてスターのような扱いを受ける場合も多い。ただMiFIDⅡの施行により、リサーチ評価の多寡により発注量が変わるブローカー評価や、アナリストランキング自体がなくなる可能性もある。目に見える評価軸が減少するとともに、これまでの厚遇がなくなる事態も示唆されている。

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