2017年02月23日
サマリー
◆米国のMMF規制改革が2016年10月に施行され、1兆ドル規模のプライムMMFからガバメントMMFへの資金シフトが生じ、MMFの資産構成に変化をもたらした。CPやCDでの運用が大きく減少し、米国債などとレポでの運用額が増加した。
◆MMFによるCPの保有が大幅に減少し、CPによる海外金融部門の調達が減少したように、MMFの資金シフトの影響は、海外に波及した可能性が高い。
◆レポ市場でのMMFの運用は大幅に増えた。レポ市場は海外部門が資金の取り手でも出し手でもあり、同時にMMFなどの資金をFRB(連邦準備制度理事会)が吸収している構造となっている。主要な部門ながら海外部門の具体的な主体は明確ではない。
◆MMFの資金が政府債務に向かい、銀行間市場の相対的な位置づけは高まった。FRBの利上げが重なり、インターバンク金利のLIBORが押し上げられ、新興国通貨の減価につながっている可能性が考えられる。
◆MMFの規制変更によって、レポ市場が短期ホールセール資金調達の中心になり、海外主体の存在感の高まりは金融仲介の構造変化と言える。低利で短期の資金調達環境に変化が生じたことで、過剰流動性の巻き戻し懸念がある。新興国通貨の急落など、米国外での市場の動揺が生じた場合は、レポ市場を経由して米国に影響が及ぶ可能性がある。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
非上場株式の発行・流通を活性化する方策
「スタートアップ企業等への成長資金供給等に関する懇談会」が報告書を公表
2025年10月29日
-
親子上場などに関する開示議論の再開
不十分な開示状況に対して、開示項目の記載必須化に向けた議論も
2025年10月27日
-
日銀のETF売却とスチュワードシップ責任
超長期投資家となる日銀のスチュワードシップ責任の果たし方
2025年09月26日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日

