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公共建築物等木材利用促進法

2013年11月06日

大澤 秀一

正式名称は、「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」(※1)(2010年10月1日施行)で、林木の伐採期(※2)を迎えている我が国の森林資源を建築材料に利用することによって、林業の持続的な発展を図り、森林の適正な整備及び木材自給率の向上に寄与することを目的としている。同法に基づいて農林水産省及び国土交通省が告示した基本方針(※3)では、低層の公共建築物については原則(※4)としてすべて木造化を図り、備品及び消耗品については建築物の高低にかかわらず木を原材料として使用したものの利用を促進するほか、暖房器具やボイラーを設置する場合は、木質バイオマスを燃料とするものの導入に努めることとしている。


対象施設を公共建築物とした理由は、公共建築物の木造率(8.4 %、2011年度)が建築物全体の木造率(41.6 %)よりも低位であることや(※5)、今後、本格的な建て替え期に入ること、大都市以外では小規模(床面積3,000㎡以下)で低層(3階以下)の建築物が多く、木造で建築可能な条件に合致する可能性が高いことなどである(※6)。なお、本法における公共建築物(※7)とは、役場庁舎、学校、老人ホーム、保育所、病院、体育館、図書館、公共交通機関の旅客施設などのことである。


国の責務は、木材の利用の促進に関する施策を総合的に策定し、施策の実施に必要な法制上の措置を講ずるよう努めること、率先して公共建築物で木材の利用に努めること、教育・広報活動を通じて国民の理解を深めるよう努めること等とされている(第3条)。これを受けて、国土交通省では、木造の官公庁施設の技術基準(※8)を整備するとともに、林野庁では、木造公共施設の整備への支援等に取り組んでいる。地方公共団体においては、国の施策に準じて施策を策定し、実施に努めなければならないとされている。


農林水産省及び国土交通省は、本法に基づき、公共建築物における木材の利用の促進に向けた措置の実施状況を毎年公表している(※9)。2011年度に完成した建築物は、国土交通省(公園事務所等)、農林水産省(森林事務所等)、環境省(国立公園内休憩所等)等の31施設(延面積6,534㎡)であった(図表)。また、内装等の木質化は、参議院事務局(庁舎)、警察庁(警察学校等)、厚生労働省(公共職業安定所等)等の257施設で実施された。地方公共団体における取り組みも進んでおり、全都道府県及び1,225市町村(全市町村の約7割)が木材利用の方針を策定し、公共建築物の木造化等に取り組んでいる(平成25年8月末現在)(※5)。国としては、公共建築物の木材利用の促進を通して国産材の供給体制の確立やコスト競争力を強化し、一般建築物(オフィスや店舗等)の木材利用につなげる狙いもある。


図表 2011年度に国が木造で整備を行った公共建築物



(※1)「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律

(※2)一般的に林木が伐採される林齢は40~50年ぐらいなので、1950年頃から植林された人工林は伐採期を迎えている。

(※3)「公共建築物等における木材の利用の促進に関する基本方針」(平成22年10月4日)

(※4)法令に基づく基準において耐火建築物とすること又は主要構造部を耐火構造とすることが求められていない低層の建築物(ただし、災害応急対策活動に必要な施設等を除く)。

(※5)林野庁「森林・林業・木材産業の現状と課題」(平成25年10月)

(※6)平成22年度 森林・林業白書(平成23年4月26日)

(※7)法律の定義は、「一  国又は地方公共団体が整備する公共の用又は公用に供する建築物、二  国又は地方公共団体以外の者が整備する学校、老人ホームその他の前号に掲げる建築物に準ずる建築物として政令で定めるもの」(第2条)である。

(※8)「木造計画・設計基準」(平成23年5月)

(※9)「公共建築物における木材の利用の促進に向けた措置の実施状況(平成23年度)」(平成25年3月6日)


(2013年11月6日掲載)

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