激しい雨が突然、狭い範囲で短時間に降る現象を俗にゲリラ豪雨という。気象庁では、この用語を使用せず、「集中豪雨」、「局所的大雨」、「猛烈な雨」などという。新聞などでは1950年代から、「ゲリラ豪雨」が用いられており(※1)、2008年には新語・流行語大賞のトップテンに選ばれた(※2)が、その後軍事的な言葉を身近なところで使うことに違和感もあるなどの理由により、積極的には使用されなくなり、「局地豪雨」などと言い換えられることも多くなっているようである(※3)。
気象庁の「気候変動監視レポート2012」によると、日本の日降水量100mm 以上の大雨の年間日数、および200mm 以上の大雨の年間日数は、増加傾向が明瞭に現れているという(※4)。一日の降水量が200mm以上の日数について、20世紀初頭の30年間(1901~1930年)と最近の30年間(1977~2006年)を比較すると、出現頻度は約1.4倍になっており、ゲリラ豪雨が近年に頻繁に生じるようになったと感じられる(※5)。
気象庁では、数年に一度程度しか発生しないような短時間の大雨を、観測(地上の雨量計による観測)したり、解析(気象レーダーと地上の雨量計を組み合わせた分析)したときに、記録的短時間大雨情報として発表している。発表基準は地域ごとに異なっており、低いところで1時間当たり60mm、高いところでは120mmである。
都市部でのゲリラ豪雨については、ヒートアイランド現象との関連も疑われているが、そのメカニズムは十分に解明されたわけではない。しかし、東京都市部での集中的豪雨(ゲリラ豪雨)の発生前に局所的な気温の上昇が観測されることがあり、ヒートアイランド現象と都市の気象災害との間に何らかの関連があるではないかとの調査研究もある(※6)。
(※1)NHK放送文化研究所「ことば・言葉・コトバ ゲリラ豪雨」(2009年1月1日、『放送研究と調査』2008年12月号所収)
(※2)ユーキャン新語・流行語大賞2008(新語・流行語大賞公式サイト)
(※3)読売新聞 YOMIURI ONLINE「爆弾低気圧は“禁止語”ですか?」(2013年2月19日)
(※4)気象庁「気候変動監視レポート2012」
(※5)気象庁「異常気象リスクマップ 大雨が増えている」
(※6)公益財団法人 東京都環境公社 東京都環境科学研究所「東京都内における夏期の局地的大雨に関する研究」(『東京都環境科学研究所年報 2005』pp.33-42)
(2013年4月24日掲載)
(2013年8月2日更新)
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