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都市鉱山

2012年10月31日

調査本部 主席研究員 兼 社会連携担当 岡野 武志

既に生産された工業製品に含まれる金属資源を回収して再利用することで、新たに鉱山から採掘する天然資源の投入量を抑制できるという考え方で、1980年代に東北大学選鉱製錬研究所の南條道夫教授らが提唱した概念とされている。天然資源に乏しい日本では、既に国内に蓄積された有用資源を再利用することができれば、海外からの輸入量を削減することができ、最終処分場の逼迫が深刻になっている廃棄物問題の改善にも寄与することが期待できる。


独立行政法人物質・材料研究機構の試算(※1)によれば、地上資源の国内蓄積量は、鉄12億トン、アルミ6,000万トン、銅3,800万トンなどとされており、銀(60,000トン)や金(6,800トン)なども豊富に眠っているという。もっとも、過去に生産された工業製品には、現在使用されているものや既に廃棄物として埋め立てられたものも含まれるため、これらのすべてが回収可能というわけではない。しかし、採鉱や精錬の必要がないこれらの資源は、生産工程のエネルギーを節約できる上、同時に回収された他の素材や部品等を再資源化することも可能であろう。


自動車や大型家電製品については、自動車リサイクル法や家電リサイクル法に基づき、既に有用金属のリサイクルが行われており、一定の回収率に達しているとされている(※2)。しかし、小型電子機器等については、予備等として保管されるなど、廃棄されずに家庭内に退蔵されるケースも多く、廃棄される際には、一般廃棄物としての処分や海外流出の比率が高いとみられている。環境省では、小型電子機器等は1年間に65.1万トンが廃棄されており、その中には有用金属が27.9万トン含まれ、その有用金属を金額換算すると844億円になると推計している(※3)


近年、供給リスクが認識されているレアメタルは、資源が偏在し供給国が限られるとともに、価格が高騰する場面もあり、資源回収のニーズは高まっている。平成25年4月からは、小型家電リサイクル法が施行され、レアメタルや電子部品等を含む幅広い品目の製品が回収の対象になることとされている。買い替えサイクルが短い小型電子機器等から効率的に有用金属等を回収できれば、海外からの輸入に伴うリスクを軽減できるものと期待されるが、個人情報や多様なデータを含む電子機器等の回収には、国民の理解と協力が欠かせないであろう。


(※1)NIMS レアメタル・レアアース特集 都市鉱山「各種データ」独立行政法人物質・材料研究機構

(※2)産業構造審議会環境部会 廃棄物・リサイクル小委員会(第20回)配布資料(平成24年3月30日)「使用済製品の現行回収スキーム及び回収状況」(資料3)経済産業省

(※3)「平成24年版 図で見る環境・循環型社会・生物多様性白書」(第4章第3節:我が国に眠る地上資源の発掘・活用)環境省


(2012年10月31日掲載)

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