エネルギーハーベスティングとは、人や物の動き(振動・熱)や、光・電波・温度など周りの環境から微小なエネルギーを「収穫(ハーベスティング)」して、発電する技術のことで、環境発電と呼ばれることもある。得られる電力はµWからWと非常に小さいが、携帯性に優れ、充電・電池交換・配線が不要、CO2を排出しない電力の地産地消(電力を作るところと使うところが同じか近接)、などの特徴がある。
軍事分野での研究や国の後押しがあったなど、早くから研究が進んでいたのが欧米である。実用化も進んでおり、コンタクトレンズ型眼圧センサー(※1)やセンサー付き窓ノブ(※2)など、市販されているものもある。一方、日本はデバイス単体の研究が多く、研究の段階から実用化に歩みを進め始めたところである。
エネルギーハーベスティングは、ナノテク・バイオテクと組み合わせて、各種センサーを使ったワイヤレス・ネットワークを構築することで、環境・エネルギー分野のみならず、医療・福祉分野、安全・安心分野への多様な社会的課題の解決に貢献すると期待されている(図表1)。2024年の市場規模は、約2,600億ドルになるという予想(※3)が出ている。このように市場拡大するためには、他の機器とのシームレスな連携やデバイスにとどまらないサービスの提供が鍵となる。欧米ではグローバル展開を見据えた標準化活動を加速するなど、さらなる市場拡大に向けて動いている。日本では、業種間の連携を深め対外的な提言力を強化するために、「エネルギーハーベスティングコンソーシアム」が、2010年5月に設立(※4)された。
図表1 エネルギーハーベスティングの将来の活用イメージ例
(注)EMS:Energy Management System。 xがHomeだとHEMS、BuildingだとBEMSなど。
(出所)各種公開資料を参考に大和総研作成
(※1)Sensimed 「SENSIMED Triggerfish®」
(※2)HOPPE“SecuSignal®”
(※3)IDTechEx“Energy Harvesting and Storage 2014-2024: Forecasts, Technologies, Players”
(※4)NTTデータ経営研究所「エネルギーハーベスティングコンソーシアムの設立について」
(2011年6月20日掲載)
(2014年7月28日更新)
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