2016年11月11日
サマリー
◆今回の米大統領選で勝利した共和党候補のドナルド・トランプ氏の「100日行動計画」や「米国第一エネルギー計画」からは、気候変動対策に消極的な党是を踏襲すると考えられる。
◆パリ協定から米国が脱退すればその分だけ同協定の実効性が失われるが、一層、懸念されるリスクは、排出負担や国際競争力の点で公平性が喪失されたとして、他の主要排出国が相次いで脱退することである。
◆日本への影響で懸念されるのは、トランプ氏が環太平洋パートナーシップ(TPP)協定に批判的なことだろう。米国と自由貿易協定(FTA)を結んでいない国(日本等)への輸出はエネルギー省から個別承認を得れば輸出は可能だが、TPP協定の発効は輸出手続きの簡便化を通してLNG輸入が拡大されるという意味を持っている。
◆トランプ氏が米国第一の視点で正しいことを実行した場合、地球全体の気候変動が増幅し、それが米国自身の立場を脅かすといった意図しない結果が生じる可能性もある。将来的な気候安定は米国経済に多大な恩恵を与えることを改めて認識する必要があろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
スチュワードシップとESGは別モノ:英FRC
英国でスチュワードシップの定義を変更、ESG要素を削除
2025年06月13日
-
ISSBがIFRS S2の改正案を公表
温室効果ガス排出量の測定・開示に関する要件を一部緩和
2025年05月16日
-
年金基金のESG投資を実質禁止へ:米労働省
バイデン政権時代に制定されたESG投資促進の規則は廃止へ
2025年05月14日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日