2016年09月01日
サマリー
企業の「稼ぐ力」を引き上げることを目指すコーポレートガバナンス・コードの適用が始まって1年が経過した。73項目からなるコードには、遵守が容易なものもあれば、相当困難なものもある。取締役会実効性評価、株主総会事務の電子化、総会招集通知の英訳、そして社外取締役の複数選任などで、上場企業は苦心している。
本稿では、こうしたコード対応の状況を概観するとともに、コード内容自体の問題点を適示したい。また、既にコード改訂の論点になりそうな事項がいくつか示されており、今後は一層、企業側の工夫ある対応が求められそうだ。新たに策定された「日本再興戦略2016」でも、企業の情報開示の実効性・効率性の向上や、株主総会プロセスの電子化などのコーポレートガバナンスに関わる制度改正の道筋が示されている。
しかし、コードの内容と、企業と機関投資家の関心には齟齬があるかもしれず、コード改訂の際には慎重な検討が求められよう。
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