2011年09月30日
サマリー
まず、図表1が分析の対象としたファンドの数と運用資産額の推移である。金融危機の影響等から2007年度末に比べてファンド数と運用資産額は減少しており、2010年末のファンド数は323本、運用資産額は548億ドルとなっている。スクリーニング手法別にみると、ファンド数、運用資産額ともポジティブ・スクリーニングのみを採用しているファンドが最大で、2010年末では全体の約半分程度を占めている。スクリーニング条件をみると環境関連、社会問題、そしてコーポレート・ガバナンスに積極的に取り組む企業への投資が多い。次いで多いのがポジティブとネガティブの両方のスクリーニングを採用しているファンドで、ネガティブ・スクリーニングのみを採用するファンドは全体の15%程度となっている。ネガティブ・スクリーニングでは、たばこ、アルコール、ギャンブル、軍需関連等の企業を投資対象から除外しているファンドが多いようである。
図表1 分析対象のファンド数と運用資産額の推移

(出所)Eurekahedgeより大和総研作成
図表2が2007年12月末を100としたSRIファンドのリターン指数の推移である。この図からわかるように、いずれのファンドもリターン指数は株式市場の動きと連動性が高く、2008年のリーマン・ショックを契機とした金融危機による株式市場の急落と、その後の回復の影響を強く受けている。ただ、詳細にみると2009年まではスクリーニング手法によらずリターン指数がほぼ同様の動きを示しているのに対し、2010年以降は指数の水準に違いが生じている。特に、2010年終盤から直近にかけてはネガティブ・スクリーニングのみを採用しているファンドのリターンが好調であるのに対し、ポジティブ・スクリーニングのみを採用するファンドのリターン指数は市場全体から下方に乖離(かいり)している等、スクリーニング手法によってリターン指数の動向に違いがみられる。
図表2 スクリーニング手法別のリターン指数の推移(2007年12月末=100)

(出所)Eurekahedge、MSCIより大和総研作成
次に、図表3に2009年7月から2011年6月までの24ヵ月のデータを用いて、スクリーニング手法別のリターンから資産構成を推計した結果を示した(※1)。まず、ネガティブ・スクリーニングのみを採用しているファンドは小型グロース株が38.6%で、他のファンドに比べて小型株の構成比が非常に高い。大企業は多様な事業を行っているために、ネガティブ・スクリーニングの条件に該当するケースが多く、小型株への投資比率が高いことが推測される。これに対し、ポジティブ・スクリーニングのみを採用しているファンドは、大型バリュー株が62.7%、大型グロース株が31.8%となっている。これは、大企業の方がCSRに関する体制が整っており、ESG情報の開示が進んでいることを示しているのではないか。両方の手法を採用するファンドも大型株投資が中心となっている。もちろん、ここで示したのはあくまでもモデルによる推計であるが、スクリーニング手法によって投資対象が異なり、リスク・リターン特性に違いが生じているようである。

図表3 スクリーニング手法別の資産構成推計値
(出所)Eurekahedge、MSCI、Merrill Lynch等より大和総研作成
(※1)下記を説明変数とし、係数が非負で合計が1となるように制約を付けた回帰モデルにより推計。
大型バリュー株: MSCI All Country World Index Large Cap Value
大型グロース株: MSCI All Country World Index Large Cap Growth
小型バリュー株: MSCI All Country World Index SMID(Small+Mid Cap) Value
小型グロース株: MSCI All Country World Index SMID(Small+Mid Cap) Growth
債券: Merrill Lynch Global Government Bond Index Ⅱ
キャッシュ: LIBOR 1ヵ月物
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