2011年06月01日
サマリー
2009年度の日本の温室効果ガス排出量(確定値、2011年4月26日環境省公表)は、京都議定書の基準年の値を初めて下回り、基準年比4.1%減、前年度比5.7%減となった(図表1)。環境省によると、前年度から排出量が減少した理由は、1)景気後退に伴うエネルギー需要の減少、2)原子力発電所の設備利用率の上昇などに伴う効率(原単位)改善の2点である。エネルギー由来のCO2排出量では、前年度比では各部門が減少しており、寄与率の高い順に、エネルギー転換部門、産業部門、民生部門、運輸部門である(直接排出量)。
図表1 国内の温室効果ガス排出量の推移
(出所)環境省ウェブサイトをもとに大和総研作成
排出量削減の主な経路は、(1)原子力、風力などの低炭素エネルギーの利用増加などによるエネルギー構成の変化、(2)省エネ機器や燃費の良い自動車の普及によるエネルギー効率の改善、(3)エネルギー多消費型からサービス業などのエネルギーを相対的に必要としない生活・産業構造への転換の3つが挙げられる。前年度からの減少理由は上記の(1)、(3)にあたると考えられる。
速報値のため値が変わる可能性もあるとはいえ、2009年度の大幅な排出量減少は日本の温暖化対策の1つの解を示唆している。家計関連の継続的な温暖化対策はもちろん重要であるが、主な削減手段が省エネ努力である家計関連より、CO2の約3割を排出する産業部門やクリーン電力を供給することでCO2の25%に影響を及ぼす発電事業者などがエネルギーのクリーン化を積極的に推進することが温室効果ガスの早期削減のためには必要である。これら示唆と機会を活かし、エネルギー消費と経済成長がリンクしない産業構造へと日本が転換できるか、新しい産業を育てられるかが課題であろう。
図表1 国内の温室効果ガス排出量の推移
(出所)環境省ウェブサイトをもとに大和総研作成
排出量削減の主な経路は、(1)原子力、風力などの低炭素エネルギーの利用増加などによるエネルギー構成の変化、(2)省エネ機器や燃費の良い自動車の普及によるエネルギー効率の改善、(3)エネルギー多消費型からサービス業などのエネルギーを相対的に必要としない生活・産業構造への転換の3つが挙げられる。前年度からの減少理由は上記の(1)、(3)にあたると考えられる。
速報値のため値が変わる可能性もあるとはいえ、2009年度の大幅な排出量減少は日本の温暖化対策の1つの解を示唆している。家計関連の継続的な温暖化対策はもちろん重要であるが、主な削減手段が省エネ努力である家計関連より、CO2の約3割を排出する産業部門やクリーン電力を供給することでCO2の25%に影響を及ぼす発電事業者などがエネルギーのクリーン化を積極的に推進することが温室効果ガスの早期削減のためには必要である。これら示唆と機会を活かし、エネルギー消費と経済成長がリンクしない産業構造へと日本が転換できるか、新しい産業を育てられるかが課題であろう。
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