2010年11月25日
サマリー
◆銀行を含む上場企業全体を対象に保有株を分析したところ、09年度は銀行との持ち合いを行っている企業の割合が減った。また、持ち合い株を保有していない企業数も増加している。
◆上場企業が保有する持ち合い株の比率(対市場全体)は、金額ベースで08年度の8.2%から09年度は6.5%へと低下、株数ベースでも同様に6.9%から4.9%へと低下している。
◆業態別にみると、銀行、事業会社ともに持ち合い比率が低下しているが、銀行と事業会社間での持ち合い比率の低下の方が大きい。銀行を中心に持ち合い解消が進展したことがうかがえる。
◆持ち合い解消の要因としては、09年度の株式市場の大幅上昇があげられるが、有価証券報告書における「株式の保有状況」の開示義務と、IFRS(国際会計基準)の導入議論の影響も考えられる。
◆今後は、これまでにも増して株式持ち合いに関する株主や投資家の目は厳しくなる可能性が高く、持ち合いの維持や強化にはこれまで以上に説明責任が求められよう。株式持ち合いは、新たな時代を迎えたのである。
◆今回の分析では推計方法の変更を行ったため、過去に遡及して再計算を行った。
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