サマリー
◆個人の自助努力による資産形成を後押しする制度として期待されるiDeCo(個人型確定拠出年金)は、2017年1月に加入対象者が大幅に拡大されて以降、会社員や公務員を中心に加入者数が増えている。2023年10月末時点の加入者数は312.0万人と、対象者拡大前の2016年12月末の30.6万人から約10倍に増えた。
◆しかし、国民全体で見ればiDeCoの利用者はまだ一部にとどまっている。より多くの人々が老後に向けて安定的な資産形成を実践し、資産所得を拡大させていくには、iDeCoの更なる制度改革が必要である。
◆岸田政権が掲げる「資産所得倍増プラン」では、iDeCo改革が政策メニューの1つとされている。中でも注目したいのがiDeCoの拠出限度額の見直しであり、2024年12月に企業年金加入者のiDeCoの拠出限度額が一部見直される。さらに、現在は働き方の違いで有利・不利が生じない公平で中立的な私的年金税制の構築が求められており、iDeCoを活用した共通の非課税枠の設定などの見直し案も検討されている。丁寧な議論を踏まえた、個人の資産所得の拡大につながるiDeCo改革に期待したい。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
ISSが2026年以降の助言基準を公表
多様性基準の引き上げ、支配株主がいる会社に過半数の社外取締役を求める助言基準案について意見募集中
2025年11月06日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
-
誰が暗号資産(仮想通貨)を保有しているのか
~暗号資産関連サービス提供に向けた投資家保護・マーケティングへの示唆~『大和総研調査季報』2025年秋季号(Vol.60)掲載
2025年10月24日

