2021年01月13日
サマリー
本稿では、家計によるリスク性資産の保有について、高齢層・中年層・若年層と年齢層の違いに着目してその要因を分析した。まず、それぞれの年齢層に特徴的な資産形成上の論点は、①長生きリスクに備える運用が求められつつも認知機能の低下に注意が必要な高齢層、②純金融資産がプラスに転じ、相続によって金融資産を継承する中年層、③資産形成意欲が高く、デジタル・フレンドリーな若年層——と整理できた。
日本証券業協会「証券投資に関する全国調査(個人調査)」の匿名個票データを用いて、リスク性資産の保有要因を分析すると、①高齢層は証券会社に対するイメージや地域、②若・中年層は金融教育や税制優遇措置が大きな要因となっていた。
これらの分析結果は、資産形成を促進するうえで年齢層別の特性を踏まえて施策を行う必要性を示唆している。具体的には、高齢層に対しては金融ジェロントロジーの知見を活かすことによる顧客本位の業務運営の徹底が求められよう。また、若・中年層に対しては、税制優遇措置のより一層の周知や、証券投資に関する知識の学習機会を官民で作り上げることが望まれる。
大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
大和のクリプトナビ No.2 暗号資産価格のリターン・ボラティリティ・相関の特徴
過去のリターンは、将来のリターンに対する一定の予測力が存在
2025年04月15日
-
大和のクリプトナビ No.1 暗号資産価格の歴史的推移
需給の影響を受けやすく、足元では政策や機関投資家の動きも影響
2025年04月10日
-
「職場つみたてNISA」の仕組みと導入意義
ファイナンシャル・ウェルビーイングの向上も期待
2025年03月28日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日