サマリー
◆世界の不動産投資市場に回復の兆しがみられる。世界の商業用不動産への直接投資額は、2010年第4四半期に1000億ドルを超え、2012年の第4四半期には1470億ドルに達した。資金の出し手として存在感を高めているのは、年金基金や政府系ファンドのようだ。
◆世界の主要な年金基金の資産配分状況を確認すると、株式や債券から、その他の資産、特に不動産への投資比率が高まっていることがわかった。また、不動産投資においては、国内から国外へとシフトする傾向が鮮明となっており、地域の分散化が進んでいるようである。
◆背景には、2008年の世界金融危機を受けて、年金基金が資産配分の見直しを進める動きを強めていることが挙げられる。また、REIT市場の存在も大きいだろう。REITは上場商品であり、流動性が高く分散効果の期待できる投資対象といえる。また、2012年には市場規模が拡大しており、年金基金からの資金流入が今後も続くと予想される。
◆国内に目を転じれば、年金基金による不動産投資の比率は低いようだ。しかし、世界の年金基金の動向や、長期投資という観点から見ると、不動産投資が重要な投資対象となる時期が近づいているのではないだろうか。
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