「二重債務問題」の対策と課題

与野党3党合意による債権買取機構の枠組み決定へ

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2011年10月31日

  • 森 祐司

サマリー

◆東日本大震災で被災した企業が新たな借金を抱える「二重債務問題」に関して、民主、自民、公明の3党は、野党が中心となって提出した被災者支援法案に民主党が同調する方向で正式に合意した。被害の大きかった東北3県に設置され、先行して活動を開始している「産業復興機構」を中堅・中小企業向けとする一方、中小・零細企業を主な対象とする「東日本大震災事業者再生支援機構(支援機構)」を併置して、再生に意欲を持つ事業者の債権を買い取る内容となっている。

◆被災した企業は東北3県(岩手県、宮城県、福島県)に集中し、中小・零細企業がほとんどである。このため、被災企業の支援を成功させるためには、これら中小企業に対してきめ細かな対応ができるかにかかっている。被災企業の復興は、被災地域での雇用拡大、人口流出の歯止めにつながるだけに、できるだけ幅広い債権買い取りが望まれる。しかし、その一方で、あまりに甘い基準にすると、貸すべきでない人に貸してしまうといった問題もあり、いかにうまくバランスをとっていくことができるかが重要となる。

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