一物“多”価は当たり前!?の企業価値算定

企業価値算定に込められた“想い”を読み解く

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  • 佐藤 翔

サマリー

M&Aのプロセスの一つに企業価値算定がある。会社の買収にあたり適正な金額がいくらであるかを算定する。通常、「買い手」と「売り手」でそれぞれ企業価値算定を行い、算定された金額をもって両社が交渉に臨む。その妥結点が買収金額として株式譲渡契約書に記載される。

M&A業界ではこの企業価値算定を「バリュエーション」という。バリュエーションには、会計・税務・財務・金融工学といった知識だけでなく、算定の対象となる企業のビジネスの理解も必要とされ専門性が高い。

投資銀行、会計事務所、コンサルティングファームなどが得意とする分野であり、その多くはバリュエーションの専門部隊を擁する。中にはバリュエーションに特化したコンサルティングファームも存在する。

コンサルティングファームに依頼したバリュエーションによる金額が交渉相手の提示する金額水準と異なり、戸惑うこともあると思う。交渉を円滑に進めるには、バリュエーションによる金額が相手方とある程度一致している方が望ましい。しかし、交渉相手との金額の差異を、安易にバリュエーションのパラメータの調整によって解消してはいけない。金額の差異には必ず理由があり、その理由を無視することが意思決定に歪み(ゆがみ)を生じさせる。

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