サマリー
◆国連においてSDGsが採択されてから5年以上が経過し、2021年に入ってからはコーポレートガバナンス・コードの改訂案にもSDGsやTCFDという文言が登場するなど、企業には一層のサステナビリティ対応が求められる。「サステナビリティを企業価値の向上と結びつける」というのが企業の望みであり、投資家からの要望であるが、未だ多くの企業は検討に苦心していると思われる。
◆SDGsウォッシュの問題等が取りざたされている状況に鑑みると、実体の伴わないサステナビリティ対応は、サステナビリティの本来の目的から乖離しているうえ、レピュテーションリスク等の顕在化につながる。あくまで企業に求められるのは、将来の社会環境が変化する中でも継続的に企業価値を高めていく戦略である。単に社会貢献を掲げるのでなく、自社の成長戦略の一環としてSDGsやESGといった事項を捉える必要があると考えられる。
◆サステナビリティを企業価値向上のための戦略として検討する際に重要となるのは、サステナビリティに係る「リスクと機会」が将来の経営に及ぼす影響を具体的に把握することだ。実務上の有力な取組みの一つとしては、TCFD提言に沿った対応が考えられる。なぜなら、TCFD提言の目的は気候関連のリスクと機会を企業の財務報告に反映させることだからである。実際に、キリンホールディングスのように、TCFDに沿った検討によって事業活動への将来的な影響を把握する企業も出てきている。
◆企業においてサステナビリティに係るリスクと機会を検討することは、専門的な知見やコストを要する面もあるが、将来の事業活動に重要な示唆をもたらすと考えられる。こうしたリスクと機会を適切に織り込んだ経営を志すことで、サステナビリティは企業価値の向上と結びつく。
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