人的資本重視で求められる退職給付制度への対応

~変革する人材戦略に退職給付制度を対応させるには~

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  • データアナリティクス部 主任コンサルタント 逢坂 保一

サマリー

2020年9月に経済産業省から、「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会報告書~ 人材版伊藤レポート ~」(以下、人材版伊藤レポートという)が公表された。人材版伊藤レポートでは、「持続的な企業価値の向上や経済成長を支える原動力は「人」であり、社会全体で人的資本の向上を実現することが重要」とし、企業価値向上には経営戦略と人材戦略の連動が不可欠であると指摘されている。また、その人材戦略には、①経営戦略と人材戦略の連動、②企業文化への定着、③As is‐To beギャップの定量把握といった、3つの視点(Perspectives)(※1)が求められるとしている。

本稿では、人的資本を支える人事制度は様々あるが、退職後の所得保障、論功行賞、給与の後払いや離職の抑制といった人材を確保する上で重要な役割を持つ、退職給付制度に焦点をあて、人材戦略に求められる3つの視点に対応するには、どのように取り扱っていくべきかを考えてみる。なお、ここでの退職給付制度は確定給付型を前提としている。

(※1)視点②、③は、本稿の構成上、順番を入れ替えている。また、人材版伊藤レポートでは、①動的な人材ポートフォリオ、個人・組織の活性化、②知・経験のダイバーシティ&インクルージョン、③リスキル・学び直し、④従業員エンゲージメント、⑤時間や場所にとらわれない働き方といった、5つの共通要素(Common Factors)も示しているが、ここでは退職給付制度と関連性が高い3つの視点を取り上げた。

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