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確定拠出年金(個人型年金)の加入対象者の拡大

~確定給付型年金の加入者も個人型年金(確定拠出年金)へ加入可能に~

2017年05月24日

コンサルティング企画部 受託計算課 主任コンサルタント 松原 寛

平成29年1月1日に「確定拠出年金法等の一部を改正する法律」の一部が施行された。確定拠出年金は、拠出した掛金とその運用実績に応じて将来受け取る給付額が決まる年金制度で、企業型年金(以下、企業型DC)と個人型年金(以下、個人型DC)がある。企業型DCは厚生年金保険の適用事業所となる企業が実施し、掛金は企業が拠出する。一方、個人型DCは国民年金基金連合会が実施し、掛金は加入者個人が拠出するものである。


「確定拠出年金法等の一部を改正する法律」は、平成28年6月3日に公布後、平成28年7月1日から順次施行されている。今回施行された改正の内容は、主に個人型DCに関わるもので、今まで個人型DCの加入資格がなかった者が新たに加入対象となった。


●個人型DCの加入対象者
平成28年12月31日までの個人型DCの加入対象者は、以下のいずれかに該当する者であった。
・自営業者等の国民年金の第1号被保険者
・国民年金の第2号被保険者で確定給付型年金や企業型DCの加入者とならない者
平成29年1月1日からは、上記に加え、下記に該当する者も個人型DCに加入することが可能となった。
・国民年金の第3号被保険者(専業主婦等)
・公務員共済や私学共済の加入者
・国民年金の第2号被保険者で確定給付型年金や企業型DCの加入者である者
これにより、60歳未満のほとんどの国民年金の被保険者が個人型DCへ加入可能となった(図表1)。

個人型DCの加入対象者

●確定給付型年金からの移行検討は慎重に
確定給付型年金や企業型DCの加入者も個人型DCへ加入可能となった。現状、確定給付型年金を導入している企業は、今後の自社の企業年金について検討する際、以下の3つの選択肢が考えられるだろう。
①確定給付型年金を継続
②確定給付型年金と企業型DCを併用(確定給付型年金の一部を企業型DCへ移行)
③確定給付型年金の全部を企業型DCへ移行


企業によっては、財務リスク低減のため、確定給付型年金から企業型DCへの移行を検討しているところもあるが、従業員の立場を考慮すると、特に③の選択は慎重に検討すべきであろう。確定拠出年金は、運用実績に応じて将来受け取る給付額が決まるため、将来の給付額に不安を抱える従業員は多い。確定給付型年金の加入者も個人型DCへ加入可能となった現状、多くの従業員は①又は②の選択を望むのではないか。①又は②であれば、従業員は老後の生活資金の一部について安定収入を見込むことができる一方、各従業員が任意で個人型DCに加入し、確定給付型年金の上乗せとして自助努力による老後の生活資金の獲得も可能となる。ただし、②の場合、企業型DCの加入者が個人型DCへ加入するためには、下記条件を満たす必要がある。
・規約にマッチング拠出が定められていないこと
・規約に個人型DCに加入できることを定めること


企業型DCにおけるマッチング拠出と個人型DCは併用できない点には注意が必要である。
②の場合において、マッチング拠出と個人型DCを比較すると下表のようになる。

マッチング拠出と個人型DCの比較

加入者にとって事務手続きや手数料はマッチング拠出の方がメリットがあるといえそうであるが、企業がマッチング拠出又は個人型DCを導入する際は、従業員の意見等を聞きながら上記の内容を踏まえた上で、十分に検討する必要があるだろう。


今後は、「確定拠出年金法等の一部を改正する法律」の公布日から2年以内(平成30年6月2日まで)に、中小企業への普及拡大を目的とした「簡易型DC制度」、「個人型DCへの小規模事業主掛金納付制度」の創設やさらなる利便性の向上を目的とした「年金資産の持ち運び(ポータビリティ)の拡充」といった改正が行われる予定である。


このような法改正により確定拠出年金の利便性は徐々に向上しているといえるが、一方で、制度の仕組みや手続きが煩雑で分かりにくくなっている面もある。今後、確定拠出年金を普及させていくためには、利便性の他、利用者にとってわかりやすい仕組みにしていく必要があるだろう。

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