2022年11月17日
平成26年以来毎年実施されている経済産業省「電子商取引に関する市場調査」を8年間連続で大和総研が受託し、筆者も本調査に携わってきた。主に「日本・米国・中国各国におけるBtoC の越境電子商取引(以下、越境EC)に関する調査」を担当してきた。日本の電子商取引事業者(以下、EC事業者)だけでも、のべ数百社の企業に訪問し面談を行った。米国や中国のEC事業者はのべ百社以上の企業面談を行ってきた。
日本・米国・中国各国における越境ECの市場規模は年々拡大している。その背景には、(a)インターネット人口の増加、(b)スマートフォンの普及、(c)インターネットショッピングサイトの充実、(d)検索サイトの利便性向上 、(e)国際決済手段の多様化、等々がある。インフラを整備することで市場規模が拡大してきた。さらに、2019年末以降の新型コロナウイルス(以下、COVID-19)蔓延の影響で、外出の自粛を余儀なくされたことにより、旅行先やリアル店舗で行っていた購買をインターネットで代替購入する消費行動も増え、越境EC市場規模の成長を押し上げた。
2022年には我が国を取り巻く経済環境も大きく変化した。2022年10月、ニューヨーク市場で一時1USドルが148円台に下落し、32年ぶりの円安水準になった。越境ECに注目した場合、海外の消費者にとっては円安に動くことで日本の商品は割安に映る。日本商品を海外に販売する機会ととらえることもできる。本稿では、COVID-19の影響下や円安水準、世界情勢の不安定な時代の今、越境ECビジネスが地方創生を活性化する機会になることを提言したい。
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