2010年12月27日
2011年1月11日、ラオスで株式取引が開始される。注目された上場第1弾の企業2社は、水力発電会社のEDL-GENと、銀行のBanque pour le Commerce Exterieur Lao(BCEL)である(下の写真は2010年10月10日に開設されたラオス証券取引所)。

EDL-GENは電力会社EDL(政府100%出資)の子会社(EDLの株式保有比率99.99%)で、既存の7つのダム(発電容量387メガワット)で発電した分をEDLに売却する会社である。
今回新たに発行される株式数は、既存株式数の1/3にあたる2.17億株。この内の0.1億株がEDL-GEN従業員とEDL-GENに1株4,000キープで、国内居住者には1.19億株が同4,300キープで、海外の投資家には0.86億株が同4,300キープで割り当てられる(1ドル=8,060キープ、12月23日時点)。但し、日本からの応募はできない。引受証券会社は、BCEL銀行とタイのKT Zmico証券の合弁であるBCEL Krungthai Securities Company Limitedが務める。
BCELはラオスの国営商業銀行である。英文の目論見書や説明書がないが、引受証券会社へのヒアリングによると、売り出される株式数は発行済み株式数の15%で、ラオス居住者のみに割り当てられる。売出価格は当初5,000キープだが、オークション形式を採用しているため、実際はこれとは異なる。まず、応募者は購入希望株式数と前金(希望購入株式数×5,000キープ×20%)を振り込む。この振込証明証と引き換えに、応募者には購入希望金額の登録用紙が配られる。応募者は購入希望金額を記入して入札を行う。落札は入札された購入金額の高い順に決まり、同価格の場合は購入希望株数の多い者から割り当てられる。
BCEL株式の引受証券会社は、ラオ開発銀行(Lao Development Bank:LDB)とベトナムのサコムバンク証券(Sacombank Securities Company:SBS)の合弁であるLane Xang Securitiesが務める。
下の写真は、2010年12月14日にラオス証券取引所内で行われたBCEL株式売出説明会の隣に用意された、相談窓口の様子である(手前側が投資家)。証券会社の職員が休みなく説明に追われていたが、まだ説明会の案内は新聞広告に出る程度で、投資家が情報を得る機会は限られている。このため、説明会に参加した投資家の方も「とりあえず(試しに)買ってみる」という考えも少なくないようである。
また、ラオス国内の証券会社も、ラオス国外の証券会社から注文を取り次ぐことが可能かどうかを証券取引委員会に確認しているが、12月14日時点ではまだ回答がないようで、営業も手探り状態とのことであった。
試行錯誤しながらのスタートとなるラオスの証券市場。今後の行く末やいかに!

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