コロナ禍を踏まえた人口の2025年問題①

東京からの人口流出は地方の人口減少を食い止めるか?

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  • マネジメントコンサルティング部 主任コンサルタント 岩田 豊一郎

サマリー

◆2025年問題とは、少子高齢化を人口の最大のボリューム層である団塊の世代(1947~1949年生まれ)が全て後期高齢者(75歳以上)となる2025年をメルクマークとして語られる問題である。

◆2025年は大きく社会が変化し始める節目になると考えられる。加えて、この1年はコロナ禍の影響で、人の動きから働き方、ライフスタイル等の多方面で大きな変化が見られる。特に、テレワークの急速な普及や3密回避の視点から、大都市圏からの人口流出と、地方への移住・定住などが注目されている。

◆この1年の東京都における人口流入減少の多くは、隣接する3県への人口流出で説明が付く。それ以外の地方においては、現状では、人口減少を食い止めるほどの効果は期待できない。

◆東京都への人口流入減少の中心は働く世代である。要因としては、リモートワークの普及に伴う郊外への移転、休業・失業に伴う転出、就業に伴う都内への転入の減少等が考えられる。

◆従来、人口流入の中心であった20~24歳の世代に変化は見られない。ただし、影響が出てくるのは2021年度の可能性も考えられる。

◆近年、移住希望者が増加していると言われるが、リモートワークを通じた移住には限界があり、隣接3県への人口流出は、大半の人達にとっては、近隣への転居が現実的であることを示している。

◆現状では、2025年にかけて予測されている地方圏の人口減少が大きく変化する可能性は低いと考えられる。

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