2016年06月28日
サマリー
◆「企業の効率性」の観点から費用構造に対応した料金体系について検討する。水道は、そもそも自然条件、社会的条件の違いから料金水準のバラつきが大きい。他方、別々の料金体系の市が合併したケースを含み、同一市内においては同一の料金体系であることが原則になっている。市街地と郊外など地域別の原価が計算でき、それを合理的に説明できるならば、地域別の料金体系を設定することも可能ではないか。
◆隣接する自治体の間での料金水準の差が水道広域化の阻害要因になっており、地域別料金制は水道広域化の推進に資すると考えられる。料金水準を人口密集地で安く、郊外で高くすることで市街地への集住を促進。ひいてはインフラのダウンサイジング、コンパクトシティ化の推進となる。
◆固定費が9割を超える水道の原価構成を踏まえると、使用水量にかかわらず賦課される基本料金のウェイトを上げたほうが合理的。定額制を基本に、一時的に負荷が集中し施設能力を超えることがないよう上限水量を設定し超過料金を徴収するものとする。工業用水道と同じ料金体系である。
◆現状は小口料金が原価割れの水準に設定され、大口料金から得られる利益で内部補てんされるケースが多い。費用構造を反映した料金体系のあるべき姿に照らせば段階的に解消することも考えらえる。大口利用者の減少リスクも看過できない。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
地域で影響を増す外国人の社会増減
コロナ禍後の地域の人口動態
2025年07月24日
-
コロナ禍を踏まえた人口動向
出生動向と若年女性人口の移動から見た地方圏人口の今後
2024年03月28日
-
アフターコロナ時代のライブ・エンターテインメント/スポーツ業界のビジネス動向(2)
ライブ・エンタメ/スポーツ業界のビジネス動向調査結果
2023年04月06日
関連のサービス
最新のレポート・コラム
-
中国:来年も消費拡大を最優先だが前途多難
さらに強化した積極的な財政政策・適度に緩和的な金融政策を継続
2025年12月12日
-
「責任ある積極財政」下で進む長期金利上昇・円安の背景と財政・金融政策への示唆
「低水準の政策金利見通し」「供給制約下での財政拡張」が円安促進
2025年12月11日
-
FOMC 3会合連続で0.25%の利下げを決定
2026年は合計0.25%ptの利下げ予想も、不確定要素は多い
2025年12月11日
-
大和のクリプトナビ No.5 2025年10月以降のビットコイン急落の背景
ピークから最大35%下落。相場を支えた主体の買い鈍化等が背景か
2025年12月10日
-
12月金融政策決定会合の注目点
2025年12月12日

