2011年04月06日
東日本大震災で被災された皆さまに、心よりお見舞い申しあげます。一日でも早い復興を願っております。
今回の東日本大震災では多くの日本企業がダメージを負った。しかしながら、これまでの歴史の中で、わが国は第二次世界大戦後、奇跡ともいえる高成長で経済大国となった。その後も、オイルショックやバブル崩壊といった危機に直面してもなんとか乗り越えてきた。今回の震災はそれらを遥かに超えるものではあるが、日本経済が底力を発揮するものと思いたい。
言い古されてきたことであるが、わが国の産業は中堅中小企業が支えているといっても過言ではない。被災地域の中堅中小企業がいち早く再生・復興することが日本経済にとってプラスとなることは言うまでもない。
中堅中小企業にとどまらず、自動車、電機をはじめとするわが国有数の大手企業の工場も少なからず被災し、部品の調達が滞ったことで、日本のみならず世界的な生産にも影響を与えている。産業のグローバル化によって、今回の震災が日本だけの問題でなくなっていることだ。世界経済における日本の地位の低下が鮮明になりつつあった中で、日本の産業の重要度が再認識されたことは皮肉ともいえる。
被災した企業の中には、再生に向けて動き始めている企業もある。再生のためには多額の資金が必要となることはいうまでもない。融資を含む資金調達がスムーズに得られるように、規模による優位性を得るため、中堅中小企業を中心に再編の動きがでてくることは十分に考えられる。
他方、少子高齢化による成長の転換点にあったわが国の大手企業においても例外ではない。東日本大震災で経営にダメージを負ったことから、グローバルな競争に勝ち抜くためにも、これまでのしがらみや業界慣習を打破していかなければならない。大手企業同士の戦略的な業務提携や資本提携といったM&A等により、新しい枠組みを構築することで、復興と新しい世界戦略に向けた第一歩を踏み出すことを期待したい。
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