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M&Aによる成長を目指す企業にとって重要なこと

2015年02月25日

M&A

経営コンサルティング第一部 主席コンサルタント 太田 達之助

自社の経営資源だけでは成長に限界があるという判断から、M&Aによる成長を目指す企業が増加している。事業戦略にM&Aによる成長を織り込んでいる企業もある。


JTやダイキン工業のように、効果的なM&Aによって企業規模や収益性を非連続に成長させて、真のグローバル企業に変貌を遂げたケースがある半面、華々しいM&A実施後に巨額の減損計上に追い込まれてしまう企業も後を絶たない。


M&Aの成否を分けるポイントについては、いろいろな角度からの研究が行われている。本稿では、M&Aの経験値が高くない企業が、今後M&Aによる成長を目指すために何をすべきかを検討する。

典型的な失敗パターン

M&Aの経験が少ない企業にとって、M&A関連のアドバイザーや専門家は実に頼りになる存在である。しかしながら、彼らはあくまでもM&Aディールを執行するプロであって、事業戦略の方向性の決定に関しては、通常は守備範囲外である。


実際に企業を買収して、買収アドバイザーに教えてもらった経営統合に向けたチェックリストによって、Day1(統合日)でやるべきことや100日プランでやるべきことをこなそうとしても、なかなかうまくいかないことが多い。被買収側の立場で考えるとわかりやすいが、オーナーシップが変わったから今までのルールを変えろといわれても抵抗感を持つ人が少なからずいるからである。

  1. ①統合プロセスで多くの誤算が発生し、M&A検討時点に見積もっていた「シナジー効果」が出てきそうにない
  2. ②熱気のあったプロジェクトが解散し、当事者意識のない者が責任の押し付け合いを始める
  3. ③冷静に考えて何故こんなに高い価格で買収してしまったのかと気づく、

といったケースが典型的な失敗パターンである。このような失敗は、M&Aに受け身で対応し、十分な準備ができていなかったときに起こることが多い。

主体的に取り組むことがポイント

どうすれば失敗の確率を引き下げることができるのだろうか。最も重要なことは、M&A担当者がM&Aプロセスに主体的に取り組むことである。M&Aのターゲティングをしっかり行うことと、社内外から良質の情報を集める仕組みをつくりあげることがポイントになる。


まずターゲティングに関しては、自社の成長戦略との関連でいくつかの仮説を構築して絞り込みを行うことからスタートする。内外の環境分析を踏まえたうえで、どの事業領域を強化するのか、地域的な拡大か、バリューチェーンの強化か、業態の拡大か、どのような企業とどのような形で提携するのがいいのか、複数のシナリオを構築し、優先順位づけを行うのである。ここまでがM&A戦略策定プロセスである。


次にM&Aの案件検討と実行に向けた体制の確立が必要だ。M&A検討の担当部署または担当者の設置に関しては、企業規模によってケースバイケースとなる。よほどの大企業でなければ専任部署の創設は非効率であるし、M&A自体が手段ではなく目的化してしまうリスクもある。そこで、担当者を兼任で置くという選択肢も含め、少人数で効果を上げる方法を検討すべきであろう。


M&Aは相手のあることだから、社内外から情報を効果的に集める必要がある。M&Aのターゲティングの結果を優先順位と狙いも含めて銀行や証券会社に伝えるとともに、社内(あるいはグループ会社内)の現場にあるアイデアを拾い上げることも大切だ。現場との意思疎通が不十分な状態でトップダウンによる買収や提携を決めてしまうと、買収後の運営に支障をきたす場合も出てくる。買収後のPMIも見据えて対応しなければならない。


M&A担当者に必要な役割として、企業価値評価など基礎的な知識の習得や他社の事例研究(どのような戦略でM&Aを決断し、それがうまくいったかどうかなど)、M&Aプロセスで得られたノウハウのマニュアル化なども挙げられる。


社運を賭けたM&Aで成功した企業も、小規模なM&Aで誤算を経験してノウハウを身につけていったケースが多い。最初からうまくいくためには運も必要なのかもしれない。しかし、自らが主体的に取り組んでいかなければ、道は開かない。

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